【高口康太】「怠け者エコノミー」が牽引する中国のトレンド

2019/1/11
2018年、中国ビジネス界で台風の目となったのが瑞幸咖啡(ラックインコーヒー)だ。1月の創業から1年足らずの間に約1400店舗を展開。王者スターバックスコーヒー(3000店舗超)を猛烈な勢いで追い上げている。
12月12日にはBラウンド融資(サービスが軌道に乗りはじめ、会社をより大きくするための資金調達)で2億ドルを調達した。同社の評価額は22億ドルだ。
北京市、瑞幸珈琲(写真:Imaginechina/アフロ)
なぜ瑞幸咖啡はこれほどの爆発的な成長を実現することができたのか。まず、出血大サービスの安売り拡販路線が背景にあることは間違いない。
Bラウンド融資のために作成した事業計画書が流出したが、2018年1月~9月は売り上げ3億7500万元に対し、4億3300万元の営業損失、8億5700万元の純損失を記録している。
瑞幸咖啡は中国メディアの取材に対し、「年間の損失はこの数字よりもはるかに大きい。補助金によって速やかに市場を占領するのは我々の既定戦略であり、損失額は予想どおりだ」と回答している。
もっとも、ただ安いから、お得だからというだけで、シェアを伸ばしたわけではない。瑞幸咖啡はアプリからしか注文を受け付けないが、事前に注文すれば待ち時間なしにピックアップできる、出前を頼めばオフィスから出ることなくコーヒーが届けられるという「利便性の向上」が、若い世代からの支持を集めた。

中国を変える「怠け者エコノミー」