[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した12月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.6%上昇と、前月の1.9%上昇から予想以上に上昇率が鈍化した。エネルギー価格の上昇率が大幅に鈍化したことが影響した。

ロイターがまとめた市場予想は1.8%上昇だった。

ただ、ECBが政策決定で重視するコアインフレ率(エネルギー、食品を除く)は12月は1.1%と、前月から変わらず。市場予想とも一致した。

別のコアインフレ率(エネルギー、食品、アルコール、たばこを除く)も12月は1.0%と、前月から変わらず。市場予想と一致した。

エネルギー価格は前年比5.5%上昇。上昇率は11月の9.1%から大きく鈍化した。

12月のインフレ率が、欧州中央銀行(ECB)の目標である2.0%弱をかなり下回ったことを受け、今年の利上げはないとの見方が強まった。

INGバンクのエコノミスト、Bert Colijn氏は「インフレ率が目標を下回り、景気は減速している。今年ECBが利上げするチャンスはあるのかどうかが問題」と述べた。

ECBのインフレ率予想は、2018年が1.8%で19年が1.6%。しかし、一部エコノミストはインフレ圧力はもっと弱いとみている。

スイス・ライフのエコノミスト、Marc Brutsch氏は18年のインフレ率を1.7%、19年は1.4%に低下すると予想。「インフレ率が2%を明確に下回り、ECBは目先利上げを急いでいない」と述べた。

エコノミストの見方を確認するかのように、ECBのクーレ専務理事は4日、政策金利はインフレ目標の達成に必要な限り長期にわたって、低水準に据え置かれるとの見通しを示した。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジャック・アレン氏は「最近の賃金の伸び加速がコアインフレを若干押し上げるかもしれないが、エネルギー価格の急減速が続く見込みで、総合インフレ率は今年半ばまでに1%程度に低下すると予想される」と述べた。

同時に発表となった11月のユーロ圏生産者物価指数は、前月比0.3%低下。ロイターがまとめた市場予想は0.2%低下だった。10月は0.8%上昇だった。

11月のユーロ圏生産者物価指数は、前年比では4.0%上昇だった。