【木崎伸也】「Jリーグのプレミアリーグ化」構想実現へ

2019/1/1

ロシアW杯でのサプライズ

スポーツ界は常に新しい発見と驚きを求めている。特に日本のようなエンターテインメント大国となると、その傾向はさらに強い。新しいサプライズがなければすぐに「浮動票」を失い、コアなファンだけに支えられるニッチな存在になってしまう。
そういう新しい発見や驚きという点で、2018年の日本サッカー界はまれに見る当たり年になった。
最大のサプライズとなったのは、日本代表のヴァヒド・ハリルホジッチ監督の解任だ。日本サッカー協会はロシアW杯まで2カ月というタイミングで、このボスニア・ヘルツェゴビナ出身の指揮官を解任し、技術委員長だった西野朗氏を抜擢(ばってき)した。
田嶋会長の決断なくして2018年W杯の日本代表の躍進もなかった(写真:スエイシナオヨシ)
日本サッカー協会の田嶋幸三会長からすれば、ハリルホジッチが任命されたのは前会長のときで、何もしなければ批判されることはなかった。だが、問題に目をつむらず、ブラジルW杯に出場した選手たちの話し合いで「ノー」をつきつけられた監督に見切りをつけたのだった。
この「無難主義」から脱した行動が、さらなるサプライズを生むことになる。

Jリーグが「攻撃的な組織」へ

時間がない中で新チームが始動すると、西野監督は「俺は世界を知らない。みんなの意見を聞かせてくれ」と自分をさらけ出した。
これによって個人が意見を言いやすい場が生まれ、乾貴士はスペイン流のサッカー、香川真司はドルトムント流のサッカー、大迫勇也は当時所属していたケルンのサッカー、本田圭佑はパスで相手を疲弊させるサッカーを主張し、オーストリア合宿のミーティングは大いに盛り上がった。
どんなサッカーでW杯に臨むべきかの答えは出ず、ときにみんなが熱くなりすぎることもあった。だが、西野監督は「今日はここまでにしておこうか」と言ってミーティングを終わらせ、チームの空中分解を回避した。そして本番直前、大迫、乾、香川、原口元気という4人に攻撃陣を組ませることで、議論に監督としての回答を与えたのである。