【トップ直撃】ファミレスの王、キャッシュレス実験の現在地
2018/12/27
1962年、日本の外食業として初めてセントラルキッチンを導入したのは、ロイヤルホールディングスの創業者・江頭匡一氏だった。
そのセントラルキッチンによって、品質の良い食材を安定的に複数の店舗に供給することができるようになり、その後の日本の外食産業の店舗拡大に大きく寄与してきた。
それから半世紀がたち、一度は低迷したロイヤルを立て直したのが、2010年に代表取締役社長に就任し、現在も会長兼CEOとしてグループを率いる菊地唯夫氏だ。
菊地体制のもと行われたのが、営業時間の縮小だ。2017年に、ファミレス全店で24時間営業が廃止されるとのニュースは、業界の流れを決定づけた。
外食産業の真の課題と、ポスト平成時代に進むべき道を聞いた。
トヨタと外食が比べられる時代
──外食産業の現状をどう見ますか。
外食産業は2つの長期的課題に直面しています。低い生産性、人材不足の2つです。これらの課題の背景には、2つの構造要因があります。
人口減少とデフレです。
まず、2045年までに、2000万人の生産年齢人口が減る。
この減少が産業界にどうインパクトを与えるかというと、一律に各産業人口が減るわけではなく、当然、「働きにくい産業」から人材が枯渇していきます。
人口減少時代は、業界を越えて、例えばトヨタと比べて働きやすい企業かを問い直さなければならない。あるいは、トヨタより高い生産性が求められる。
──世界トップクラスの、トヨタの生産効率に勝つ必要がある。
「業界の中では生産性は高い方だから、いいよね」と考えてしまいがちですが、この発想自体、もう古い。そんなことでは外食産業は、人材を獲得できないでしょう。