2019年1月末までに360台導入

ロボットたちがウォルマートにやってくる。しかも、単なる客寄せではない。
小売業で世界最大手のウォルマートは2019年1月末までに、自動床清掃ロボット360台を一部店舗に導入する。このロボットに搭載された技術の開発元であるブレイン・コーポレーションとウォルマートが共同で発表した。
サンディエゴを拠点とするスタートアップであるブレインによれば、この自動清掃ロボットは周囲に買い物客がいても床を清掃することができるという。
ウォルマートはすでに「在庫切れの棚をスキャンする」「オンラインでの注文を受けて倉庫から商品を運んでくる」などといった作業の自動化について、試験的な取り組みを行なっている。
また、コンピュータービジョンを進歩させることにより、店舗のフロアデータを使っての客の行動理解が進み、在庫の追跡精度が上がるだけでなく、アマゾン・ドット・コムが無人店舗で試みているように、レジを無くすことすら可能になるという。
ブレインのロボットにはセンサーが多数搭載されており、データの収集とアップロードが可能だ。
ブレインのユージン・イジケヴィッチCEOは「われわれは、車輪が付いているものなら何でも、完全自律型ロボットに作り変えることができる。ただし、ゆっくりした速度で進めることと、突然停止することが安全面での問題にならないことが必要だ」と語る。
「また、われわれの技術は単なるナビゲーション技術ではない。アンドロイドOSがスマートフォンに対してやっているようなことを、ロボットに対して行なっている」

従業員は顧客対応に注力できる

ブレインは自社でハードウェアの製造を行わず、「BrainOS」の開発に特化している。閉ざされた環境内における自律能力をロボットに与えるソフトウェアだ。
最初は人間がロボットを操作し、清掃が必要な空間のレイアウトを「教える」必要がある。その後は、ロボットが自律的にタスクを実行できるようになる。
イジケヴィッチCEOによれば、小型の整氷車と電動車椅子をかけ合わせたような見た目のこのロボットは、すでにシアトルやサンディエゴ、ボストン、マイアミなどの空港で、床清掃に利用されているという。
ブレインは11月、ソフトバンクグループのソフトバンクロボティクスと共同開発した日本市場向けの小型版清掃ロボットを発表した。
その際にイジケヴィッチCEOは、大規模小売店内で警備パトロールや配送を行うロボットの展開を目指していると語っていた。
ウォルマートのセントラル・オペレーション担当バイスプレジデント、ジョン・クレシリアスは声明の中で「BrainOSは店舗従業員が担当する単純作業を支援する、非常に強力なツールです。従業員は自分がすべき他の仕事に注力したり、お客様への対応により時間をかけたりできるようになります」と述べている。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Pavel Alpeyev記者、翻訳:半井明里/ガリレオ、写真:artran/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.