[トロント 9日 ロイター] - カナダで逮捕された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL] の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が、高血圧など体調の問題を理由に、米国への引き渡しに関する審理が始まるまでの保釈を請求したことが、9日に公表された裁判所の文書で明らかになった。

孟容疑者(46)は米当局の要請によって1日に逮捕された。

バンクーバーの裁判所で7日に行われた保釈の可否を巡る審問で、カナダの検察は、今回の問題は、米国や欧州連合(EU)の制裁に反してイランに米国製機器を販売しようと試みた香港の会社スカイコム・テックと華為との緊密な関係について伝えた2013年のロイターの報道がきっかけになったと説明。

米検察当局は、孟容疑者が金融機関に対し、2社の関係について虚偽の説明をしたと主張しているという。米国に引き渡された場合、銀行詐欺の疑いで起訴されるとみられ、有罪になれば禁錮30年以上の刑が科される可能性がある。

孟容疑者は宣誓供述書で無実を主張。米国に引き渡された場合は米国で無実を証明するために闘うと表明した。

また、逮捕後に高血圧症の治療を受けるために病院に連れて行かれたと説明した。バンクーバーとは少なくとも15年前から関係があり、かなりの不動産も保有しているとし、同市で保釈されても問題がないことを強調した。

中国は孟容疑者の逮捕に強く抗議し、即時の釈放を求めている。

裁判所公表の文書によると、華為はイランでの業務は国連、米国、EUの「適用法・規制・制裁を厳格に順守」していたと主張。同文書とともに公表された2013年のプレゼン資料は、貿易取引上の法順守について「専門家の指導」を得るために、「日常的に」米政府機関と連絡を取っていたとしている。

企業は制裁対象に指定された団体などとの取引で米金融システムを利用することを禁じられている。