【完全解説】日本の「サブスクリプション」は、なぜダメなのか

2018/12/13
世界の音楽や動画の世界が、サブスクリプション(定額制)のストリーミングサービスに移って久しい。特に、長年不況にあえいでいた音楽業界は、ストリーミングの登場で一気に復活した。だが、この恩恵を日本が享受している気配はない。なぜ、日本ではまだサブスクリプションが浸透しないのか。iTunesとSpotifyというビッグサービスの日本立ち上げを率いた音楽配信の生き証人、野本晶氏に直撃した。
大学生がいきなり全米デビュー
──日本ではApple MusicやSpotifyなどサブスクリプション型音楽ストリーミング発のヒットがなかなか生まれていません。
日本の音楽業界は、よくドイツをベンチマークにします。というのも、ドイツは世界で唯一、日本以外でもCDの売上比率が高い国だったからです。
実は、そのドイツで今年、ストリーミングがむちゃくちゃ伸びました。代わりに、これまで高かったCDの割合が大きく減ったんですね。つまり、本格的な移行期に突入してきたということです。
実際、ドイツは7年前から、音楽産業が伸び悩んでいました。
国土もそこそこ大きいし、言葉もドイツ語なので、ドイツ語のアーティストが世界でデビューすることはまずなかった。ドイツ国内だけでも、そこそこ食っていけるという状態も日本と似ていました。
結果として、なかなか音楽が国外に出ていけなかった。音楽ビジネスの中心地もロンドンやニューヨークなので、わざわざドイツ語の曲に目を付けることもなかったですし。
それが近年、ストリーミングが浸透したことで、ユーザーが先に面白い楽曲を見つけ出す仕組みが生まれて、ヒットが出るようになったんです。
例えば、ドイツの大学生2人組が始めた「Milky Chance」というフォークデュオがいるんですが、彼らがヘタウマな英語で楽曲をYouTubeに楽曲をアップしました。それが大学外に広がり始めるんですが、それにいち早く気づいたSpotifyが注目して、プッシュしたんですね。
すると、世界中のユーザーに広がって、米ユニバーサルの担当者が目をつけて、アメリカで本格デビューすることになったんですよ。これは、5年前のことなんですが、そういうことが普通に起き始めたんです。
ほかにも、ドイツでもラップが人気なんですけど、「ドイツ語のラップおもろいやん」と世界に広がって、ストリーミングで上位になるみたいな流れも起き始めました。
なので、CDが根強かったドイツでさえ、ストリーミングの普及で自国の音楽が世界に広がったし、世界の音楽産業の伸びとしても大きく寄与したんですね。
海外を軽く考えすぎている
一方で、確かに日本では、「ドイツの大学生がアメリカでいきなりデビュー」みたいなセンセーションは起きていません。