[東京 27日 ロイター] - 臨時国会の最重要法案と位置付けられていた出入国管理法改正案は27日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決し、参院に送付された。同改正案は、人手不足への対応策として外国人労働者の新たな在留資格を設け、建設、介護、農業などの分野での受け入れ拡大を目指している。

現行法制では、日本で働くことができる外国人は留学生(アルバイト)、技能実習生、医師などの高度人材に限定されている。

同改正案では「特定技能1号」、「特定技能2号」の在留資格を創設。「1号」では、日常会話程度の日本語能力や一定の能力・知識を条件に最長5年の滞在を承認し、家族の帯同は認めない。「2号」は、熟練した技能を持っていることを条件とし、在留期限の更新と家族の帯同も認める。

政府側は14日、初年度に最大4万7550人、5年間で最大34万5150人を受け入れるとの試算を示した。新たな在留資格で「特定技能1号」が対象とする14業種別の見込み数も示している。

しかし、詳細に関しては今後詰める部分も多く、「中身は何も決まっていない、すかすかの法案」(立憲民主党の逢坂誠二議員)との批判が、野党から出ていた。

野党側は、事実上、移民政策への政策転換であるにもかかわらず政府が認めていないと強く反発。27日には、山下貴司法相の不信任決議案を提出し同改正案の採決先延ばしを図ったが、同日の衆院本会議で不信任決議案は与党などの反対多数で否決された。

安倍晋三首相は12月10日の会期末までに同改正案を成立させるため、当初予定されていた英国とオランダへの訪問を取りやめを決断した。

ただ、会期末の12月10日までに参院本会議で採決され、成立するのかどうかは微妙な情勢で、与党関係者の間では、1週間程度の会期延長の思惑も出ている。

(竹本能文 編集:田巻一彦)