【大﨑洋】吉本興業の海外挑戦。「お笑い」は国境を越えるのか
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お笑いの世界は、言語の壁によって、海外展開が難しいと言われてきました。確かに、グローバルで活躍する芸人は、渡辺直美さんなど、ダンスや歌に強みを持つ人が多いのが現状です。
そんな中、吉本興業が考えたのが漫才の「ノウハウ」の輸出。確かに、漫才というのは日本独自のスタイルで、その手法を海外に移植すれば、現地の才能ある芸人が発掘されるかもしれません。
特に「笑い」はその時々の景気や文化に依拠するところが大きいので、その土地に住む人にしか作れないコンテンツがきっとあるはずです。
漫才という「お金のかからない」芸だからこそ、富めない人にもチャンスがある。ある意味、公平な土俵で戦える漫才の世界だからこそ、これからたくさんのシンデレラストーリーが生まれるかもしれません。吉本興業を率いる大崎さんの言葉には味があります。ほんわかしていて、優しさがある。
「芸人が地域に住んで受け入れられて、シャッター通りのじいちゃん、ばあちゃんにもかわいがってもらっていて。その中で、彼らが地方の寂しさ、悲しさ、課題みたいなものを体験して、それを楽しく笑いで伝えていければいいなって。」こんなのことはなかなか言えるものではない。確かに大﨑さんが社長になってから、吉本はお金にならない事業が増えたかも知れません。住みます芸人もそうですし、沖縄で映画祭をやったり学校を作ったりというのは、なかなかすぐは利益にならない事業です。でも、そういう事をやるための上場廃止だったと思います。
こちら台湾では、「台湾住みます芸人」として、漫才ボンボン(漫才小爺)のお二人が活躍されています。中華圏にも「相声」という、漫才に似た演芸があるのですが、テンポやスタイルが漫才とは違いますし、ドツいたりノリツッコミしたりといった手法はありません。もちろん笑いのツボも違います。そんな中で、漫才ボンボンのお二人は、中国語も全く分からない状態からメキメキ上達し、今ではライブで爆笑をさらっています。本当にカッコイイと、いつも思ってます。
私は前職で大阪のテレビ局にいたこともあり、今まで多くの吉本の社員さんにお会いして来ました。吉本といえばきら星のごとく輝く芸人さんがクローズアップされますが、そこで働いておられる方々も、芸人に負けず劣らずユニークです。スキあらばアホな事をしてやろうという、笑いへの貪欲さを強く感じます。良い意味で、サラリーマンではありません。
むかし、重めの案件が暗礁に乗り上げた時、吉本のえらい人の「とりあえず、オモロかったらええんちゃいますの」の鶴の一声で一件落着したのは、今でも衝撃と共に記憶しております。