[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は16日、量的緩和(QE)を年内に終了する方針を改めて表明する一方、成長見通しについては慎重な見方を示し、インフレ率の上昇は当初の想定よりもゆっくりしたものになる可能性があると警告した。

ドラギ総裁は銀行関連の会合で、ユーロ圏経済の成長が止まり、それに伴いインフレが鈍化することを見込む「理由はない」と強調したが、見通しを巡る不透明感が拡大していることを認めた。

総裁は、「企業が成長やインフレについて先行き不透明感を強く感じれば、利益への圧迫がより持続性を持つ」と指摘。

「これは基調インフレが加速するペースに影響を及ぼし、ひいてはわれわれが想定する今後数四半期のインフレ動向にも影響する」とし「中期的見通しに関する不確実性が高まった」と述べた。

総裁は、成長見通しへのリスクはおおむね均衡していると依然として認識している、と述べる一方で、新たな成長・インフレ見通しを発表する12月に、状況について再評価する考えを示した。

ECBはかねて、QEの年内終了を計画しており、2011年以来初となる利上げは来年の後半になるとの見通しを示唆してきた。

総裁は今回の講演でもこうした計画を堅持する姿勢を示したが、ユーロ圏の借り入れコストが過度に上昇するなどすれば、「将来の金利の予想水準が調整されることになる」と指摘した。

イタリア出身のドラギ総裁は、同国の財政問題に直接は触れなかったが、国債の利回り差拡大に伴うリスクについて警鐘を鳴らした。

*内容を追加しました。