[東京 12日 ロイター] - 日銀が12日に発表した10月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比でプラス2.9%となった。プラスは22カ月連続。米国によるイランへの経済制裁の影響で原油価格が上昇した。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比プラス2.7%だった。前月比はプラス0.3%。

10月の指数は102.3で、2014年11月の102.4以来の水準となった。

前年比で指数を押し上げたのは「石油・石炭製品」で25.5%上昇した。「非鉄金属」は、前年比では3.0%下落したものの、前月比では1.0%上昇となった。

企業物価指数が前月比でプラス0.3%、夏季電力調整後の実勢ベースではプラス0.6%となったことで「比較的高めの伸びと評価できる」(幹部)という。

米国によるイランへの経済制裁などで原油価格が上昇したことが背景にある。米中貿易摩擦懸念から値下りしていた銅やアルミニウムなどの「非鉄金属」は、ここまでで大きく水準を切り下げたこともあり、足元では小幅上昇しており、原油価格上昇の影響が色濃く出ている状況となっている。

夏場の原油価格上昇は、ファンダメンタルズではなく、イランへの経済制裁の影響が大きかったことから、今後についても「方向性が見定めにくい。米中貿易摩擦が世界経済を下押しする可能性も存在しており、需要面から押し下げ方向に働く可能性も意識しておくべき」(同)とみている。

公表744品目のうち、前年比で上昇したのは406品目、下落は255品目だった。上昇と下落の差は151品目で、前月から22品目増加した。

(清水律子)