[東京 5日 ロイター] - 日銀は5日、9月18─19日分の政策決定会合の議事要旨を公表した。強力な金融緩和策を続けることが、物価安定目標の早期実現につながるとの認識の一方で、追加の金融緩和の必要性や大規模な金融緩和による金融面での副作用への言及もみられた。

9月の会合では、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもとで、短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度の誘導目標の維持を決めた。

何人かの委員は、強力な金融緩和のもとで、マクロ的な需給ギャッププラスをできるだけ長く続け、物価モメンタム2%に向けたモメンタムを途切れさせないことが「物価安定目標をできるだけ早期に実現することにつながる」との見解を示した。

これに対し、ある委員は「金融緩和効果は時間とともに減衰し得るため、追加緩和によって、政府とともに企業や家計の前向きの行動変化を後押しすることが必要」と述べ、追加緩和の必要性に言及した。

7月の「枠組み強化策」については、市場の一部に分かりづらさを指摘する声があることから、複数の委員は「金融緩和の副作用への目配りを行いつつ、強力な金融緩和を粘り強く続けるという日銀のスタンスを、引き続き丁寧に説明していくことが重要」とした。

また、その効果については、何人かの委員が「引き続き注意深く点検していく必要がある」と指摘した。

金融政策運営について、1人の委員は「市場機能の観点から、現在の金融政策の枠組みを維持しつつ、その柔軟化について、将来的に検討する余地がある」との見解を示した。

また、金融機関への影響については、何人かの委員が「金融機関の収益動向がその経営体力に及ぼす影響は累積的なもの」とし「低金利環境の継続が金融機関収益や金融仲介機能に及ぼす影響をしっかり見ていく必要がある」とした。

ある委員は、大規模な金融緩和による金融面での副作用を考慮すると「長期化にも限界があると考えられ、金融政策の時間軸について、政策委員の間で議論を深めていくべきではないか」と述べた。

海外経済については、多くの委員が「保護主義的な動きの長期化や米国金利の上昇による新興国経済への影響など海外経済を巡る下振れリスクは、引き続き増大している」との懸念を示した。

(清水律子)