(ブルームバーグ): 複数の日本銀行当局者から、現行の金融緩和策で操作対象とする長期金利について、多くの市場関係者が想定している上下0.2%を超える変動幅を許容する意見が出ている。事情に詳しい複数の関係者への取材で明らかになった。

複数の関係者によると、日銀当局者の間では0.25%程度までは10年物国債利回りの上昇を容認するとの声が複数上がっている。一部の当局者は緩やかな金利の上昇を容認する一方で、日銀としては急激な変動は望んでおらず、ボラティリティー(変動率)の上昇を目指しているわけではないという。

日銀は7月の金融政策決定会合で、長期金利は「上下にある程度変動しうる」ことを決定。発表文に変動幅は明記せず、黒田東彦総裁が会見で、2016年9月の長短金利操作導入後の「おおむねプラス0.1%の幅から上下その倍程度」と明らかにした。長期金利の0%目標について、これまでも「程度の見方次第だが、四捨五入でいえばプラスマイナス0.4%と考えている人もいたかもしれない」とも述べた。

7月会合の議事要旨によると、一人の委員が「主要国の最近の長期金利の動きを参考にすると、わが国でもプラスマイナス0.25%程度の変動を許容することが適切である」と述べた。

黒田総裁は今月行われたブルームバーグとのインタビューで、「売り手がいても買い手がいない場合もあれば、買い手がいて売り手がいない時もある」と述べ、日銀の行動を促した市場機能の低下に言及していた。

7月の日銀決定を受けて長期金利は8月2日に昨年2月以来の水準である0.145%まで上昇したが、日銀は同日午後、予定外の買い入れオペを通知し、急激な金利上昇をけん制した。複数の関係者によると、日銀が0.145%で金利上昇を止めに入ったのは、急な動きを容認しない姿勢を示したものだった。

長期金利は26日午後、ブルームバーグの報道を受けて0.11%から一時0.12%まで上昇した。今月4日と9日には7月会合後の最高水準となる0.155%を付けていた。

(第5段落以降に黒田総裁の発言や債券市場の反応を追加して更新します.)

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