[25日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。決算が好感された金融大手ロイズ・バンキング・グループ<LLOY.L>やディフェンシブ銘柄が買われ、相場を押し上げた。

ロイズは1.9%高だった。第3・四半期利益が市場予想を上回ったことが好感された。ロイズはまた、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱に対する懸念を一蹴し、離脱交渉の結果にかかわらず、国内経済への信用供与を続けると表明した。

一方、広告大手のWPP<WPP.L>は13.8%急落し、1998年以来の大きな下落率となった。取引時間中は23%安となる局面もあった。売り上げと利益の見通しを引き下げたことが嫌気された。

中型株では保険会社ヘイスティングス<HSTG.L>が13.7%急落した。激しい競争が続いていると指摘したことが不安視された。

<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。好決算を発表した銘柄が買われたほか、終盤にかけてユーロが下落し、輸出銘柄を押し上げた。

フランスの自動車大手PSAグループ<PEUP.PA>は6.7%高。好決算が買い材料だった。PSAがけん引する形でフランスのCAC40指数<.FCHI>は1.60%上昇した。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はこの日、理事会後の会見で、ユーロ圏経済の弱含みを指摘した。これを受けユーロが下落し、輸出銘柄の追い風となった。

この日はまた、米国株式相場が前日の大幅安から持ち直したことで欧州市場でも市場心理が好転した。

こうした中、広告大手のWPP<WPP.L>は13.8%下落。業績見通しを引き下げたことが嫌気された。

ビール大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)<ABI.BR>は10.4%急落。新興国市場の事業が不安定との理由で配当を半減したことが嫌気された。

<ユーロ圏債券> 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が理事会後の記者会見でユーロ圏の基調的なインフレに自信を示すと同時に、ユーロ圏経済に対するリスクにも言及したことを背景に、国債利回りが一時やや上向いたものの、このところの低水準近辺に収束した。

ドラギ総裁は保護貿易主義の台頭のほか、新興国市場と金融市場動向を巡る「多大な不透明感」が存在していると指摘。ただ「こうしたことが理由でECBがベースライン(基本)シナリオを変更するかと問われれば答えは『ノー』だ」と述べた。

ドラギ総裁の記者会見中はユーロ圏国債の利回りは一時上向いたが、記者会見が終了するころには利回りはほぼ横ばいか、わずかに高い水準まで戻し、このところの低水準近辺に収束した。

DZ銀行のアナリスト、パスカル・セゼッサー氏は「ドラギ氏はECBが刺激策の引き揚げに向けた軌道から外れていないことを示すと同時に、過小評価したりパニックを起こしたりせずにリスクを注視しているとのメッセージを発し、非常にうまいコミュニケーションを図った」と指摘。

ラボバンクの金利ストラテジスト、リン・グラハム・テイラー氏は「ドラギ氏は勢いが弱まっているとの認識を示し、特定の国が抱える要因などにも言及したが、通商を巡る先行き不透明感がある中でも成長は潜在力に向かっているとの見解を示した」と述べた。

独10年債<DE10YT=RR>利回りは一時0.378%と、1カ月半ぶりの水準に低下。その後は1ベーシスポイント(bp)上昇の0.40%と、ドラギ総裁の記者会見開始前とほぼ並ぶ水準に戻した。

ドラギ総裁はイタリアについて、予算案を巡り欧州委員会と合意が得られると確信していると発言。イタリア10年債<IT10YT=RR>利回りは一時はリスク選好度の改善などを受け低下したが、ドラギ総裁の記者会見が進むにつれ3bp上昇の3.50%となった。ただ前日からはまだ11bp低い水準にあり、独10年債との利回り格差は直近の高水準である311bpからは縮小している。