[トレド(米オハイオ州) 22日 ロイター] - 11月の米中間選挙では、トランプ米大統領が2016年の大統領選で勝利した「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる五大湖周辺地域で民主党が優勢となっている。複数の世論調査で明らかになった。

オハイオ州知事選の民主党候補リチャード・コードレイ氏は先週、同州のトレドで選挙演説を行った。コードレイ氏は、リベラルな「進歩的大衆主義者(progressive populist)」だと指摘されることが多いが、労働者階級の人が多いトレドのダウンタウンで主に黒人の有権者を前に「オハイオ州をより良くする。国をより良くする」と訴え、2018年の中間選挙は2020年の大統領選につながると強調した。

今月公表されたサフォーク大学の世論調査では、コードレイ氏の支持率は共和党のマイク・デウィン氏を6ポイントリードしている。ただ、他の世論調査では五分五分との結果が出ている。

オハイオ州では、民主党のシェロッド・ブラウン上院議員がトランプ大統領が支持するジム・レナッチ下院議員から上院議員ポストを守ると予想されている。

五大湖周辺地域の他の州でも、民主党候補が共和党候補をリードしているか、もしくは、コードレイ氏のように、予想外に健闘している。

民主党がこの地域で優勢となっている理由は複雑だと党関係者やアナリストは指摘する。中間選挙でみられる歴史的な傾向や、著名な民主党候補に対して比較的弱い共和党候補が対戦していること、民主党有権者間の熱狂、ヘルスケアなどの問題を巡る懸念の高まり、トランプ氏に対する拒否反応などが背景にあるとみられる。

民主党ストラテジスト、ジョー・ゼペキ氏は「人々は、トランプ氏にうんざりしている」と指摘。「いつもトランプ氏のショーだ。これは共和党候補の助けにはなっていない」との見方を示した。

一方、共和党関係者は、トランプ氏の名前が投票用紙にないことが問題だと指摘する。有権者は、トランプ氏と同じ政党という理由だけでは、共和党に投票することはしないと説明した。

他の五大湖周辺の州ペンシルベニア州では、州知事選で民主党現職トム・ウルフ氏が共和党候補スコット・ワグナー氏をかなりリードしている。上院選は、ボブ・ケイシー・ジュニア上院議員(民主党)がルー・バーレッタ下院議員(共和党)と対戦するが、ケーシー氏が優勢とみられている。

ミシガン州は、民主党のデビー・スタベノウ上院議員が共和党候補、ジョン・ジェームズ氏をリード。州知事選も民主党のグレッチャン・ホウィットマー氏が共和党候補ビル・シュエット氏に対して優勢となっている。

ウィスコンシン州は、2016年大統領でトランプ氏の勝利により、1984年以降で初めて共和党が勝利したが、知事選は、現職のスコット・ウォーカー氏(共和党)が、トニー・エバーズ氏(民主党)と戦う。上院選は、リア・ビュクミア共和党候補が民主党のタミー・ボールドウィン上院議員に苦戦している。

マーケット大学の今月の世論調査では、エバーズ氏とウォーカー氏の支持率はきっ抗。ボールドウィン氏はビュクミア氏を10ポイントリードしている。

民主党幹部やストラテジストは、ヘルスケア、特にオバマ前政権が推進した医療保険制度改革(オバマケア)が選挙戦で争点になると考えている。コードレイ氏やエバーズ氏などは、選挙キャンペーンでメディケイド(低所得者向け医療保険)の拡充などを訴えている。

カイザー家族基金が先週公表した世論調査によると、ヘルスケアの問題は、女性有権者を中心に民主党や独立系支持者の間で最優先課題となっている。