[ロンドン 17日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカンリフ副総裁は17日、英国の賃金の伸びは2.5─3%で安定しているが、3%を超えるのは困難になっているため、政策担当者はこのところの改善に過度に反応するべきではないとの見解を示した。

英中銀はこれまでに賃金の伸びが上向くにつれて金利も緩やかに上昇していくとの見方を表明。中銀のチーフエコノミストを務めるハルデーン理事は前週、賃金は「新たな夜明け」を迎えたとの見解を示しており、カンリフ副総裁はこれらに比べかなり慎重な立場を示したことになる。

カンリフ副総裁は議会委員会への報告で、賃金の伸びが中銀の予想通りに3%を超えるとはまだ確信できないとし、賃金の伸びなどに起因する国内の物価上昇圧力は、インフレ率が中銀目標の2%を下回るのを阻止できるほど強くないと指摘。「賃金の伸びは2.5─3%の範囲内で安定しているが、5月に示された予想通りに伸びが3%台に乗せて安定的に推移するとの強い兆候は最新のデータでは示されていない」との見解を示した。

副総裁は昨年11月の金融危機後の初めての利上げに反対。今年8月の利上げは支持したが、政策担当者は慎重に行動する必要があるとの考えを改めて強調。「危機後の世界で主要な経済変数が相互にどのように作用するのかまだ学習途上にある」とし、「このことは、状況の進展に対し慎重な対応が必要であることをなお示していると考えている」と述べた。

副総裁はこのほか、米連邦準備理事会(FRB)などが提示しているような特定的な金利ガイダンスについて、無条件のコミットメントとして誤って受け止められる恐れがあるため、こうしたガイダンスを英中銀が提示する明確な根拠はないとの考えも示した。