連載「世界を駆ける 部品企業トップインタビュー2014」(34)フタバ産業 三島康博社長
2014/02/27, 日刊自動車新聞
■製造革新、TNGAと連動 次期中計で業績を本格回復
マフラーを始めとする排気系部品や車体骨格部品を手がけるフタバ産業。2013年度までの中期経営計画の最終年度を終えようとしている。売上高4200億円、営業利益175億円の収益目標を掲げてきたが、14年3月期の連結業績は売上高3937億円、営業利益19億円となる見通しだ。ただ、国内事業の構造改革によってマザーとなる日本で黒字体質を確立した。次期中期経営計画は、このノウハウを海外に移植して業績回復を目指す。
―14年度の経営環境をどのように見ているか
「消費増税による影響が懸念されているが、過去に消費税の導入や引き上げを実施した時よりも経済状況は良いように感じている。増税のダメージを受けとめつつ、国の財政を健全にしていくには良いタイミングなのではないか。国内の生産、販売も4~6月は落ち込むだろうが、7月以降は回復基調になると思う」
―13年度までの中期経営計画が終了する。総括は
「過去のフタバ産業は身の丈に合わない投資を繰り返し、国内外に重厚長大な生産体制を構築してきた。11~13年度は日本を中心にシンプルでスリムな体質に戻す取り組みを実施し、国内の黒字化を達成することが出来た。海外の進ちょくは、まだ3、4割方という状況だが、次期中期経営計画のなかで早期に実現したい」
―次期中期経営計画の収益目標は
「来年度、全社で計画をスタートしてから外部に目標を公表する。柱は、トヨタ自動車の部品共通化構想『トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)』に対応した製造革新の継続、自動車分野と非自動車分野における新製品の拡販、海外展開の拡充の三つだ」
―どのような製造革新を描いているのか
「フタバNGAと名付けて開発から生産技術、生産現場まで仕事の仕組みを変える構造改革を推進している。例えば、マフラーは断面図で数えると15、16種類の製品を開発、生産してきた。これを3分の1程度に集約しようとしている。1種類当たりの生産量をまとめつつ、設備の種類も減らす。同時に生産現場で中間在庫をなくす整流化を推進し、生産効率も向上する。15年度までに20~30%のコスト低減を実現するつもりだ。日本で立ち上げ、1、2年後には海外にも展開する」
―新製品の開発について
「燃費向上に貢献する排気熱回収器『パワレヴ』の拡販を実現したい。マツダの新型『アクセラ』向けで系列外受注を実現しており、現在もメーカー各社にサンプルを出荷して評価してもらっているところだ。非自動車では農業、風力発電といった分野で新規事業の芽が出始めている。20年度までに非自動車分野の売上高構成比率を現状の4%から10%に高めたい」
―グローバル展開はどのように進めるのか
「中国は、この3年間で着実に投資してきた。リスクを指摘する声もあるが、リスクを取らなければ果実が得られないという考え方もある。中国は今後も納入先の動向を見ながら、生産基盤を拡充していくつもりだ。14年度は北米の市場拡大に合わせて、カナダ工場にプレス棟を新設する。米国の3工場と同様、プレスから溶接の一貫生産体制を構築し、競争力を高める」
(奥野 秀康)
Copyright (c) 2024 Nikkan Jidosha Shimbun. All Rights Reserved.
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題