[ロンドン 16日 ロイター] - 有力シンクタンクの英財政研究所(IFS)は、メイ英首相が宣言した緊縮財政の終結を長期的に実現するには、同国の税負担は第二次世界大戦直後以来の高水準に引き上げられる必要があるとの分析を示した。

メイ首相は今月3日、与党保守党の党大会で演説した際に緊縮財政を終結させると表明。ただ、具体的な説明はなかった。

IFSは、増税による景気への悪影響は見込まれないものの、欧州連合(EU)離脱交渉への対応を巡りメイ首相の求心力が低下するなか、10月29日に予定されるハモンド財務相の予算演説で大幅増税の方針が示される可能性は低いと指摘。参照https://uk.reuters.com/article/uk-britain-budget/hammond-brings-forward-budget-plan-to-oct-29-idUKKCN1M626I

増税の代わりに、債務圧縮の取り組みが後退する可能性があり、経済が再び危機に見舞われた場合の対応の余地が狭まることになる。

IFSのポール・ジョンソン所長は「借金を増やすことは明らかに最も抵抗が少ない」と述べ、さまざまな理由から短期的に大幅増税を行うのは「非常に困難」だとした。

ハモンド財務相は昨年、保守党内の反発を受けて自営業者に対する増税案を撤回している。

メイ首相率いる少数政権は北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)の閣外協力に依存しているが、DUPは政府がブレグジット(EU離脱)に関する同党の意見を考慮に入れない場合は予算案に反対すると警告している。ジョンソン氏は「議会過半数を掌握していない政権下では、それほど保守的な財政運営とはならない傾向がある」と説明した。

ハモンド財務相は2020年代半ばまでに財政赤字を解消するとの目標を掲げている。昨年の財政赤字は国内総生産(GDP)比で1.9%と、2001/02年度以来の低水準となった。

IFSによると、「緊縮財政の終結」を控えめに解釈し、公共サービス関連支出の削減を停止しながらも福祉費用の抑制を続けると想定した場合でも、190億ポンドの予算不足が生じると算定。これを埋め合わせるためには税収のGDP比率を1%ポイント引き上げ、35%にする必要があるという。IFSのカール・エマーソン副所長は、この結果、長期的な税負担が1940年代終わり以来の高水準に達することになると分析した。

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