IT業界に構造改革を迫る経産省「DXレポート」の衝撃
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非常に重要な論点。
いわゆる「IT企業」には、大きく2つのタイプがある。
A:システムインテグレーター(SI)を中心とする受託開発/導入型ビジネス
B:Webやアプリを通じてクラウド型のITサービスを提供するビジネス
日本における伝統的なIT産業はAであり、富士通・NTTデータ・NEC・日立・日本IBMのビッグ5を頂点としたゼネコン的ヒエラルキーをもつ。近年はこれに外資系コンサルファームのITデリバリ部隊が合流し、いずれも労働集約的なビジネスとして巨大な市場を形成している。
一方Bは昨今注目を集める「デジタル勢力」で、米国西海岸発の企業を中心にエンタープライズ領域でも急速に勢力を伸ばしている。またマーケティング等の華やかな領域から拡大している新興企業も多く、労働集約的なAとは異なるサブスクリプションモデルを採用している企業も多い。
両者はビジネスモデルだけでなく人材のスキルセットや文化、価値観も大きく異なり、Aはいわゆる伝統的な「東海岸」、Bは先進的な「西海岸」とでも言えるほどの違いがある。ウォーターフォール前提のAとアジャイル前提のBとではITに対する考え方や仕事の進め方もギャップが大きい。
本記事のDXレポートが改革の必要性を論じているのは主にA。このSIモデルはかつて日本IBMが根付かせたという話を聞いた記憶があるが、現代のような変化の時代には構造的に付加価値創出が難しくなりつつある。レポートのサマリを読むだけでも、頷ける課題認識が非常に多い。
(参考)経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
http://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.htmlSIerに代表される人月単価で計算・請求するビジネスモデルが日本のIT革新を妨げているのは明らか。
鶏卵な部分あるものの、もともとはパッケージのはずのシステムを導入・運用するのに何倍ものお金をかけてカスタマイズするのがSIerのやり方なのです。
(人月でしか評価できない、自分の業務を柔軟に変えられない顧客側の責任もあります)
であればこそ、省庁側に先陣を切っていただきたいものです。
ご存知の方も多いでしょうが、省庁にシステムやレポートを納入する際はこれ以上ないほどに人月計算をさせられます。
どんなに苦労して省人化したアウトプットも「手間がかかっていないから値引かれる」のです。
本質的にアウトプットで評価すべきなのにそれができていないのは、行政側の最も大きな課題なのです。
そこから逃げずに「先ず隗より始めよ」が出来た時、行政はこっそり日本のIT業界から称賛されるでしょう。
まあ、票にならないし、予算手放したくないし、大手SIer傾くし、自分たちの業務変えて現場からクレーム挙げられたくないし、自分たちで査定もできないし
と色々理由をつけてやらないんでしょうけどね〜。いわゆるモード1、モード2の話ですね。
そもそもこうすべきとか、こうするとこれだけ儲かる、という話ではないので、(ざっくりいうと)まずは組織を立ち上げて短期間でいくつか試してみる、ことになるが、
そんなことが考えられる人は社内にいないか、いても既存案件から外せない。
なので、レガシーシステムが阻むというのは、今は組織のケイパビリティの観点からであって、既存システムのつくりの巧緻や技術ではないかと。