[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)は10月11─12日にインドネシア・バリで開催予定の20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、貿易摩擦の高まりが世界経済に「深刻で悪い」影響を与える可能性を警告する方針。

保護主義的な政策を認めない姿勢を示し、世界貿易機関(WTO)を通して貿易紛争を解決するよう促す。

G20では、米中欧の貿易摩擦が主要議題となる見通し。

EUがG20のために準備した文書では、「貿易摩擦の高まりを不安視している。底堅く包括的・安定的な均衡の取れた世界経済の成長と投資に深刻で悪い影響を与えるかもしれない」とした。「開放された市場を促進し、不公平な貿易慣行を含むいかなる保護主義も許さず、規則に沿った多国間協調とモノとサービスの公正な貿易の強化、投資、知的財産権についてG20は改めてコミットすべきだ」と明示した。

EU当局者は、中国が不公平な通商政策を実行し知的財産権を盗んでいることについて米国と意見が一致しているとの見方を示した上で、中国の慣行を是正する方法について見解が異なると主張。EUは、中国の問題を、貿易戦争ではなくWTOを通して解決するべきだとの意見だ。一方、トランプ米大統領は、WTOが問題解決に適切な機関ではないと発言している。

EU当局者はG20前に中国を訪問し、WTO改革について協議する。トランプ大統領は、WTOの紛争処理手続きに当たる委員の再任を拒否したり、中国などに関税を発動しており、WTO加盟国に対する改革圧力が強まっている。

トランプ大統領の怒りの対象は主に中国だとみられる。このため、補助金や国営企業、優遇措置を巡るWTOのより厳格な規制に中国を従わせることが、トランプ氏の求めるWTO「是正」を達成する鍵かもしれない。