[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米連邦預金保険公社(FDIC)のシェイラ・ベアー元総裁は20日、2008年の金融危機以降の景気回復は、低金利を背景とした家計と企業の債務拡大より主にけん引されてきたと警告した。

ベアー氏はニューヨークで開かれたヤフー・ファナンスの第2回年次「オール・マーケッツ・サミット」で、「回復は一様ではなかった」とし、実質賃金はこのところ伸びを示しているものの、回復は過度に資産インフレに軸足を置いたものだったとの見方を示した。

S&Pグローバルによると、緩和的な金融政策を背景に、米国の企業債務は今夏に過去最大の6兆3000億ドルに達した。

ベアー氏は、企業利益が債務に大きく依存している場合、企業利益の増加にけん引された経済成長は、米経済にとって不安定な土台になると指摘。

米国の消費についても、低・中所得者層が主なけん引役となっており、こうした消費は賃金の伸びではなく、おおむね借り入れにより賄われているとの見方を示し、米連邦準備理事会(FRB)が取った低金利政策は、信用危機への対応策としては正しくなかった可能性があるとの考えを示した。

FRBは利上げペースを緩めるべきではないとしながらも、FRBは賃金の伸びに対応するために利上げペースを加速させるべきでもないと指摘。「われわれは実質賃金がようやく伸び始めたことを単に喜ぶ必要がある」と述べた。

ベアー氏は2006─11年にFDIC総裁を務めた。