[ベルリン 19日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は19日、ユーロ圏の経済や社会に傷跡を残したこれまでのような危機に対処するため、新たな財政手段や幅広いリスク分担の仕組みが必要だと訴えた。

ベルリンで行った講演で、さらなる統合に向けた大きな一歩でしか、成長や生産性を押し上げることはできないと主張した。

ECBが提唱するこうしたステップの多くは、統合深化によって自国納税者が他国の政府や銀行の債務負担を迫られる恐れがあるとして、ドイツが長年反対している。

これに対しドラギ総裁は、リスク共有が信頼感や安定を後押しするとしたほか、統合実現への方策が危機時に起こり得る投機に対抗する共通財政ツールを生み出すことになると主張。

「ユーロ圏レベル、そして重要なのは各加盟国においてもマクロ経済を安定させる金融政策の実行手段があるべきだ」と述べた。

ECBが公表した講演原稿によると、当初は「相当規模」のツールが必要と述べる予定だったが、ドラギ氏は内容をトーンダウンさせ、「適当な」規模の手段を呼び掛けるにとどめた。

イタリア政府が欧州連合(EU)の財政規律に反する予算案に言及しているほか、ECBのさらなる支援を求める声も出ていることについては、ユーロ圏は財政規律の誓約を再確認すべきだとした。

また、単一市場のさらなる統合を促し、オープンな貿易は成長を加速し、保護主義が台頭する中で、域内貿易は重要度が高まる可能性があるとの考えを示した。

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