【堀江×鮨 青木】今だから語れる寿司職人のあるべき修業とは
サントリー | NewsPicks Brand Design
2018/9/25
自らも食ビジネスを手がける堀江貴文氏と、銀座の一流寿司職人、青木利勝氏が、「大人ダカラ」を片手に、「大人」同志だからこそ言えることを、今、語りあう。
トクホの「大人ダカラ」で乾杯
堀江・青木 乾杯
堀江 味はどうですか?
青木 さっぱりとした甘さで美味しいです。
堀江 体脂肪を減らすのを助けてくれるトクホだそうです。
青木 それはいいですね。
堀江 お寿司屋さんって立ち仕事ですよね? それでも太ります?
青木 もともと食べるのが好きなんですよね。甘いものとかも。昔は店を閉めたあと飲みに行って、ラーメンで締めて、さらにデザートにアイスクリームを食べたりしてました。
対お客様の仕事ですから、お付き合いでお酒をいただいたりもします。一番太ってた時期は、100kg超えてましたからね。3カ月で26kg減量したんです。
堀江 ええー! よくそこまで絞りましたね。
青木 でも油断してると体重が戻っちゃうんで、今はいつも朝4時半頃に起きて、10kmぐらいランニングして、帰宅してシャワーを浴びてから河岸に行ってます。
堀江 ストイックですね。
ほりえ たかふみ
1972年、福岡県生まれ。実業家、株式会社ライブドア元代表取締役CEO、SNS&media&consulting株式会社ファウンダー。現在は、宇宙ロケット開発やスマホアプリのプロデュース、有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の配信、会員制コミュニティサロン「堀江貴文イノベーション大学校」の運営など、幅広く活躍.
1972年、福岡県生まれ。実業家、株式会社ライブドア元代表取締役CEO、SNS&media&consulting株式会社ファウンダー。現在は、宇宙ロケット開発やスマホアプリのプロデュース、有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の配信、会員制コミュニティサロン「堀江貴文イノベーション大学校」の運営など、幅広く活躍.
「寿司職人は調理学校卒業生の1%」
ーー今回の対談は、「寿司職人の修業」がテーマです。堀江さんはかつて寿司職人の修業について発言をされたことがありましたね。
堀江 例えば1年間、皿洗いしかさせてもらえないとか。あれは、どういった意味合いなんですか?
青木 昔でいう「下積み」でしょうね。でも、その間にほとんどの人が辞めていっちゃいます。
堀江 ですよね。今は、昔と違って寿司職人のなり手がいなくないですか?
青木 いないです。以前、店のスタッフ全員で全国の調理学校を見て回りました。だいたい卒業生の約50%が給食センターや弁当屋さんに勤めていたんです。40%ぐらいが洋食や中華、あるいはケーキ屋さんなどで、10%が和食。寿司屋は、その和食の中の1割なんです。つまり全体の1%しかいない。
あおき としかつ
東京・銀座「銀座 鮨青木」2代目店主。大学卒業後、アメリカへ遊学。帰国後、京橋の名店「与志乃」に入り、2年間修業ののち「鮨 青木」へ。父・青木義氏のもとで学び、29歳で店を継ぐ。ていねいな江戸前ずしの仕事を基本に、「おいしい」を追求する。
東京・銀座「銀座 鮨青木」2代目店主。大学卒業後、アメリカへ遊学。帰国後、京橋の名店「与志乃」に入り、2年間修業ののち「鮨 青木」へ。父・青木義氏のもとで学び、29歳で店を継ぐ。ていねいな江戸前ずしの仕事を基本に、「おいしい」を追求する。
堀江 100人の1人の割合だ。
青木 そうです。
堀江 僕は今ちょうど寿司本を作っていて、30代くらいの寿司職人を中心に話を聞いてるんですよ。
その中で面白いのは、今は寿司屋になるルートをみんな知らないみたいなんですよ。知らないから、とりあえず回転寿司屋に入るらしくて。
青木氏が考える修業とは
青木 僕の場合は修業期間はだいたい2年ぐらいしかなかったんですけど、それでも最初の1年間は魚を触らせてもらえなかったですね。
修業を終えてから父の後を継いで2代目になりました。自分の代になってからは、うちの店で働きたいといって入ってきた若い人にはすぐ包丁を買わせてます。下積みしながら、学ばせるんです。「とりあえず魚を触ってくれ」と。見てるだけでは仕込みは覚えられないですから。
あと握りに関しては、はっきり言って毎日握っていればどんどん上達します。
ただ、そのあとが問題というか、僕はこの仕事は一生修業だと思うんです。つまり握り始めてからもお客様に「握りがよくないんじゃない?」とか「〆ものがしょっぱすぎない?」と言われるし、仕込みなんていくら修業してもし足りないですから。
堀江 僕が考える修業というのは、どちらかというとそっちに近いです。
寿司屋のデビューが遅い理由
ーー青木さんは、魚に触れなかった1年間に、理不尽さを感じられたりはしませんでした?
青木 子供の頃から、寿司屋というのは厳しい世界だと父から聞いていたので、そういうものだと思っていて。
でも、今それをやったら若い子も育たないし、新しい人も入ってこない。だから、できるだけ包丁を持たせて学ばせないといけないなと思ったんです。
堀江 最近、急速に変わってきてますね。
青木 例えばヨーロッパのレストランのシェフってだいたい20代なんですよ。それに比べると寿司屋はデビューが遅いんですね。
なぜなら、お客様と対面だからです。あんまり若いとお客様にナメられるんですよ。本来は技術があれば年齢は関係ないんですけど、どうしても「こんなに若くて大丈夫か?」と思われてしまいますし。僕も29歳で父の後を継いだんですけど、お客様からいろいろ指摘を受けたんです。
堀江 それは嫌じゃなかったですか?
青木 むしろ、僕は嬉しかったですね。「絶対美味いと言わせよう」と思って練習しましたし。
堀江 青木さんの下で働く若い職人さんって、どんな感じですか?
青木 すごく真面目ですよ。遅刻もしないですし、夜遊びもしないですし、がんばっていい職人になろうとしてますね。
昔は、職人はみんな気が荒いので、ちょっとしたことでケンカをしたりすることもしょっちゅうでしたけど、今はそんなことはないです。
堀江 おそらく、今寿司職人になろうという人には、明確な目的意識があるんでしょうね。
青木 昔と違って、若くして独立する方も増えています。
腕のいい寿司職人が海外へ流出
堀江 現時点で寿司職人が足りてなくないですか?
青木 足りないです。そのお店の2番手まではいいんですよ。でも3番手や4番手はみんな海外に行っちゃいます。日本より給料がよくて、労働時間も短いので。
堀江 シンガポールとか香港とか、日本人の寿司職人がすごく多いですよね。
青木 あとニューヨークも。
堀江 でも、海外の寿司は高いから、外国人観光客に日本の寿司屋は今めちゃくちゃ人気ありますよね。
青木 海外のお寿司屋さんに行くと、普通に一人あたり500ドルはしますからね。
堀江 日本だと半額ですよ。寿司に関しては、サプライチェーンも含めて、日本は非常に恵まれているんですよね。海外のお寿司屋さんが日本の漁師さんに魚のシメ方から釣り方まで習いに来たり、いい魚を手に入れようとがんばってますけど、限界があるので。その点、日本には地の利がすごくあって。
青木 日本人の漁師さんは魚のシメ方も、シメたあとの処理もものすごく上手ですからね。それを僕たちは仕込みますので。
堀江 だから東京の、特に高級寿司屋の需要はまだまだ伸びると思うんだけど、それに対応できてない。
青木 海外からお客さんは集まるんですけど、逆に若くて腕のいい職人はどんどん海外に行ってってしまっているという現状はありますね。
あるべき修業とは
ーーでは、堀江さんが考える修業のあり方とは?
堀江 それは、人によって違うと思うんですよ。基礎的な技術を飲み込むのが早い遅いかはその人のセンスだと思うし。個別のスキルに関してなら、勝ちパターンというか、効率のいいやり方はあると思います。
青木 そうですね。早い人はすごく早いです。うちで修業して独立した子に、すごく所作がきれいな子がいたんです。彼はお風呂に入ったときにいつも鏡を見ながら練習してました。
堀江 僕は個人的には、所作が美しい職人さんがいるお店に通いつめて、ひたすら見るのがいいと思っていて。
職人さんに断ってスマホで撮るぐらいしたほうがいいと思います。それを繰り返し見て真似する。
仕込みについては、どうですか?
青木 仕込みは、それこそ一生修業ですね。毎日仕込まないといけないし、毎日続けてだんだんとわかってくるものなので。
あと、僕もつい最近、今まで知らなかった仕込み方を店の女の子に教わったりして。サンマなんですけど、以前は普通に腹から包丁を入れて中骨を剥がしていたんですね。それを、イワシのように手開きにしても上手に剥がれるんですよ。若い子の柔軟な発想も取り入れていくのも一つの手かなと。
堀江 魚は本当にバリエーションが多いし、季節によっても変わるし、膨大な知識が必要ですよね。
青木 昔より、ネタにする魚の種類もずっと増えていますし、僕も変わった魚を使いたいし、変わった調理法でもお出ししたいですし。あるいは和牛をさっと炙ったものを握ったり、逆にトロを焼き肉のタレに漬け込んで握ったり。
堀江 そういう創意工夫も大事ですよね。料理人の方は本当に、いろんなお店を食べ歩いて、いろんな人たちとコラボレーションをしたほうが。
青木 そうすることでたくさん刺激をいただくので。
堀江 あと、コミュニケーションも大事だし。結局のところ人当たりのいい、接客のプロこそお寿司屋さんに向いてると思います。そこは実践で覚えていくしかないんじゃないですかね。お笑い芸人のお寿司屋さんとか、おもしろそうじゃないですか?
青木 そうですね。対お客様ですから、どれだけお客様を気持ちよく帰らせられるかが重要になってきますし。
堀江 例えば仕込みまでは職人さんがやって、握りのパフォーマンスとトークを一流の芸人さんや役者さんがやる寿司屋があったら、どうなるだろうなと思って。
青木 知り合いのお寿司屋さんで、結構若い握り手をカウンターに立たせてるところがあるんですよ。で、仕込みは年配の職人が担当するんです。それはそれでいいビジネスモデルになってますね。
堀江 僕の知り合いに、何年か前に寿司屋を買収した人がいるんですよ。元保険業界で50代くらいなんですけど、寿司屋の大将になるのが夢だったらしくて。で、20代の若い職人を雇って2人でカウンターに立ってるんですけど、どう見ても元保険業界の彼のほうが親方に見えるんです。
青木 ははは(笑)。
堀江 でも、元保険業界だからトーク力が抜群で、女性のお客さんがめちゃくちゃ来る。30人くらい入る店なんですけど、女性の貸し切り会とかもやってて、二次会はみんなでカラオケに行ったり(笑)。
青木 それも一つの商売のやり方ですよね。地道に下積みから始める人もいれば、寿司学校で勉強する人もいるし、脱サラして自分のお店を構えちゃう人もいる。全部アリだと思うんです。大変なのはそこから。
お客様と対面で握り始めてからが寿司屋の本当の修業なんですよ。
(取材、文:須藤輝 撮影:稲垣純也 デザイン:九喜洋介 編集:久川桃子)
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