ビットコインキャッシュの商業的な利用は、2018年5月に370万ドルまで落ちこんだ。チェーンアリシス(Chainalysis)は、ビットコインキャッシュには大量所有者がいると分析している。

ビットコインの再来「ビットコインキャッシュ」

仮想通貨の擁護者で「Bitcoin Jesus(ビットコインのイエス・キリスト)」と呼ばれるロジャー・バーは、世界最大の仮想通貨ビットコインから、その再来とされるビットコインキャッシュへと人々を転向させることの難しさを感じている。
ブロックチェーンの分析を行うチェーンアリシス(Chainalysis)によると、ビットコインから派生したビットコインキャッシュは、商業的にはほとんど使われていないという。
ビットペイ(Bitpay)、コイニファイ(Coinify)、ゴーコイン(GoCoin)など、17の大手仮想通貨決済サービスが受け取った支払いを見ると、2018年3月に1050万ドルだったビットコインキャッシュでの決済は、同年5月には370万ドルに落ち込んだ。
2018年5月のビットコインでの決済総額は6000万ドルだったが、ピークだった2017年9月の4億1200万ドルからは下落している。
こうした決済額の減少は、2018年にデジタル通貨の価値が暴落したことを反映している。ビットコインは約55%、ビットコインキャッシュは約75%下落したのだ。
ビットコインキャッシュの時価総額は、2017年12月に過去最高を記録したあと、約85%下落して94億ドルになった。それでも仮想通貨としては4番手だが、仮想通貨データサイト「CoinMarketCap」によれば、時価総額はビットコインの10%に満たないという。
チェーンアリシスのシニア・エコノミスト、キム・グラウアーは電話インタビューで「ビットコインキャッシュのほうがユーザーが少なく、保有している人も少ない」と述べた。

背景に「少数の大規模所有者」の存在

ビットコインキャッシュは2017年8月に、ビットコインから派生してできた。バーは、ビットコインキャッシュに乗り換えて投資し、自身がCEOを務める「Bitcoin.com」のサイトも、ビットコインキャッシュに焦点を当てたものにつくり変えた。
それ以来、それぞれの仮想通貨の支持者たちは、TwitterやRedditをはじめとするフォーラムで意見を戦わせ、最近では「Bitcoin.org」ドメインの所有権をめぐる論争でも火花を散らした。バーにコメントを依頼したが、すぐには応答がなかった。
チェーンアリシスのグラウアーは、商業的に利用されることが少ないのは少数の大規模所有権がいることも背景にあると指摘する。チェーンアリシスによると、ビットコインキャッシュのおよそ56%が、取引所にはない67のウォレットによって管理されているという。
そのうち2つのウォレットが、1万から10万のビットコインキャッシュを所有している。そして、商業サービスに多くのトラフィックを送っているのは裕福な保有者たちである可能性が高いと、グラウアーは説明する。
それでもバーはくじけていない。8月13日のツイートで、ビットコインキャッシュがどれだけ多くのトランザクションを行っているかに言及し、こう述べた。「仮想通貨の長期的な価格とは、通貨としての有用性という機能だ」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Olga Kharif記者、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:matejmo/iStock)
©2018 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.