[北京 21日 ロイター] - 中国人民銀行(中銀)は21日、会見を開き、適度に潤沢な流動性を維持するとした一方、強力な景気刺激策には頼らない意向を示した。

また、人民元を貿易摩擦に対応する手段にしないと再表明した。トランプ米大統領は20日、ロイターとのインタビューで、米国が中国からの輸入品に追加関税を発動したことへの対応として、為替操作していると指摘していた。

人民銀は会見で配布した声明で、政策をよりフォワード・ルッキングで柔軟かつ効果的なものにすると指摘。

ここ数カ月、弱い経済指標が発表され、人民元は対ドルで急落するとともに、株式市場も下落している。

シャドーバンキング(影の銀行)などリスクの高い融資への規制もあり、特に中小企業は、融資を受けづらい状況に陥っている。

人民銀行の金融市場当局の責任者は、貿易保護主義の高まりで打撃を受けている輸出業者を支援する措置に関する質問に「一時的な困難に見舞われている企業に関して、金融機関に融資打ち切りをしないよう要請している」と述べた。

人民銀行は、企業の資金調達問題を「効果的に緩和」するとし、他の当局との協調体制や実体経済への金融政策の波及経路も改善すると表明。

詳細には踏み込まなかったが、アナリストらは、法人税などのさらなる引き下げを想定している。人民銀行はすでに、預金準備率の引き下げに伴い、銀行の手元に戻った資金を中小企業向け融資に活用すべきとしている。

中国政府はインフラ投資を加速させている。景気刺激策と融資規制緩和により、債務削減の取り組みが棚上げになるのではないか、との懸念がでている。

朱鶴副総裁は会見で、「構造的な債務圧縮の方向性は不変」と発言。マクロ経済のレバレッジ比率が安定化し、家計債務の伸びが鈍化するなど、一連の取り組みの成果が出始めていると説明した。

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