[東京 20日 ロイター] - 8月ロイター企業調査によると、この夏の猛暑や豪雨で売り上げに悪影響が出た企業は、非製造業で3分の1を占めた。小売業を中心に顧客の減少や食品価格高騰の影響がみられる。多発する自然災害に対し、政府が国土強靭(きょうじん)化に取り組むことには賛成が9割超となった。

ただ、財政赤字とのバランスで、財源は歳出削減で捻出すべきとしている。

この調査は、8月1日から14日にかけて実施。資本金10億円以上の中堅・大企業483社に調査票を送付。回答社数は250社程度。

建設現場では「危険な暑さ」による作業の中断に伴い、「工事の進捗度が低下している」(建設)といったコメントが複数寄せられた。

工程の遅れが「建材需要に影を落とし始めている」(卸売)ほか、鋼材やガラス・土石などの需要にも影響が及んでいる。

非製造業では「屋外イベントの中止」(サービス)、「顧客が外出を控える」、「大雨に伴う営業時間短縮や客数減」(いずれも小売)などの影響が出ている。食材への影響も見逃せない。「肉畜の生育遅れによる相場高騰、消費者の消費意欲減退」(食品)、「漁獲量や農産物収穫量減少による高騰を懸念」(小売)など、価格高が売り上げに影響している例もある。

エアコン需要の伸長、飲料・涼味商材の売り上げ好調、災害普及関連の鋼材の需要増といった好影響は出てきているものの、異常気象が売り上げに良い影響を与えているとの回答は悪影響を与えているという回答を下回っている。

悪影響を受けていると回答した企業の割合は小売で48%、建設・不動産で30%、サービスで26%などとなっている。

猛暑のほか、豪雨、台風などによる河川の氾濫や土地の崩落など、大規模な自然災害がここ数年続いているため、政府内に公共インフラの整備・強化など国土強靭化策を求める声が高まっている。

こうしたインフラ整備・強化について企業は「おおいに賛成」が43%、「ある程度賛成」が52%と、前向きに捉えている。ただ財政赤字とのバランスについては「他の歳出を削減して赤字拡大を抑制すべき」が77%と大半を占める。削減候補となる項目は「インフラ強化以外の公共事業」が59%、「防衛費」が23%となっている。

財源については「官公庁の構造改革」や「入国税や消費税」、「老人福祉予算、医療費の削減」など社会保障費の縮小を充てるべきとの意見もあった。

(中川泉 編集:石田仁志 )