[クアラルンプール 17日 ロイター] - マレーシア中銀が17日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増で、第1・四半期の同5.4%増から鈍化した。ロイターがまとめたエコノミスト14人の予想中央値の5.2%増を大幅に下回った。マレーシアのGDP伸び率はこれで3四半期連続で低下したことになり、2016年第4・四半期以来の低水準となった。

中銀は、成長鈍化の理由として、天然ガスの生産減少や、粗パーム油の生産低調など、コモディティー絡みの要因が影響したと説明した。中銀は声明で「計画外の供給停止を主な理由に鉱業部門の成長率が鈍化し、農業部門は生産制約と不利な気象条件が影響した」と指摘した。

中銀は、2018年通年のGDP伸び率見通しを従来の5.5─6.0%から5.0%に引き下げた。

6月に就任したノル・シャムシア・ユヌス総裁は、金融政策は今後も「緩和的」となり、マレーシア経済は今年、来年と着実な成長軌道をたどるとの見通しを示した。

ナティクシス・アジア(香港)のシニアエコノミスト、トリン・グエン氏は「失望を誘うGDP統計だが、(5月の総選挙)を巡る不透明感に主に起因している」と指摘。

「マレーシアにとっての最悪期は通過したと考える。政府は困難な取り組みを行っており、第2・四半期の数字は底堅さの兆しとも捉えられる。マレーシアが発信しているメッセージは、財政再建に軸足を置いているということだ」と述べた。

中銀のデータによると、第2・四半期の経常黒字は39億リンギと、前期の150億リンギから縮小した。

中銀は、通貨リンギを下支えするために2016年に導入した規制を緩和する方針も明らかにした。輸出業者の輸出売上高の管理に柔軟性を認めることになる。

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