[ワシントン 16日 ロイター] - 米商務省が16日発表した7月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比0.9%増の116万8000戸と、市場予想の126万戸を下回った。住宅ローン金利が上昇する中、年内は住宅市場が足踏み状態となることを示唆する。

MUFGの首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「新築住宅は手に入りにくい価格水準にある。近い将来、住宅建設が加速するとの確信は持てない」と述べた。

6月の数字は当初発表の117万3000戸から115万8000戸へ下方改定された。2017年9月以来、9カ月ぶりの低水準だ。7月が小幅な増加にとどまったことで、6月の大幅な落ち込み(12.9%減)からはあまり持ち直さなかった。

7月の地域別は、中西部と南部が増加する一方で、北東部と西部は減少した。

着工件数の先行指標となる建設許可の件数は1.5%増の131万1000戸と、4カ月ぶりにプラスへ転じた。市場予想は131万戸だった。

住宅市場は、好調な景気と比べて勢いが劣っている。エコノミストらは、住宅ローン金利の上昇が住宅市場の鈍化要因だと指摘する。住宅価格の上昇と合わさって、一部の初回購入者が手を出せない状況となっている。

連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年固定住宅ローン金利は今年に入り約60ベーシスポイント(bp)上昇し、現在は平均4.59%となっている。歴史的に見ると依然低いものの、金利の上昇ペースは3%を下回り続けている賃金の伸びを上回っている。同時に、住宅価格の上昇率は年率で6.0%を超えている。住宅投資は上半期に縮小した。エコノミストらは下半期に住宅がGDPの押し上げ要因にはならなとみている。

住宅着工件数の内訳は、市場で最も大きなシェアを占める一戸建て住宅が0.9%増の86万2000戸だった。17年11月に10年超ぶりの高水準となる94万8000戸を付けて以降、勢いを失っている。月々の変動が大きい集合住宅は0.7%増の30万6000戸だった。

フレディ・マックの首席エコノミスト、サム・カター氏は「値ごろ感のある物件の欠如や価格の急上昇を踏まえると、一戸建て住宅の建設ペースは景気後退時と同様の水準にある」と指摘した。

15日に公表された8月の住宅建設業者指数は前月から低下した。調査先からは「建設費用の増加や熟練労働者と用地の不足が要因で手頃な価格の住宅が市場に出回っていないことへの懸念が高まっている」との声が上がった。

許可件数の内訳は、一戸建て住宅が1.9%増の86万9000戸。集合住宅は0.7%増の44万2000戸だった。

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