[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した統計によると、2018年第2・四半期の失業率は予想外に低下し1975年以来の低水準となった。労働生産性が向上する一方で、賃金の上昇力は弱く、9カ月ぶりの低い伸びにとどまった。

欧州連合(EU)離脱が決定した16年の国民投票後、EU出身の就業者数が減少傾向にある。第2・四半期は、前年比で1997年の統計開始以来、最大の減少率を記録した。

今回の統計は、労働市場がタイトであるにもかかわらず、賃金の伸び加速に結びついていない状況をあらためて示した。

フィデリティ・インターナショナルのアソシエートディレクター、Emma-Lou Montgomery氏は、8月初めの利上げは賃金の上昇加速を想定した上での決定であり、英中銀が望んだ状況ではないと指摘した。

4─6月の失業率(ILO方式)は4.0%で、1─3月の4.2%から低下し、1974年12月─75年2月以来の低水準となった。エコノミストの予想は4.2%だった。

就業1時間当たりの生産は前年比1.5%増加。第1・四半期の0.9%増から加速し、16年第4・四半期以来、最大の伸びを記録した。

4─6月に創出された雇用は4万2000人でロイターが集計したエコノミスト予想の平均の半分にも届かなかった。

賃金は前年比2.4%増に鈍化。市場予想(2.5%増)を下回り、9カ月ぶりの低い伸びとなった。ONSはボーナス支払い時期の変更が一因と説明した。

ボーナスを除外した賃金は前年比2.7%増に鈍化。市場予想とは一致した。

<EU出身者の英国離れ加速>

英国のEU離脱期日まで8カ月を切り、EU出身者の英国離れが加速している。

第2・四半期のEU出身就業者数は235万人。前年比8万6000人減少し、統計開始以来最大の減少となった。

英産業連盟(CBI)の雇用担当責任者、マシュー・パーシバル氏は「労働力不足はすでに企業の競争力や雇用創出力を阻害している。したがって、英国は離脱後の移民政策を開かれた、かつ管理された政策にすることが極めて重要」と述べた。

2004年にEUに加盟した東欧8カ国出身の就業者数は前年比11万7000人、11.7%減少した。ルーマニアおよびブルガリア出身の就業者数は5万4000人増加した。

また、雇用主から要請があった時にだけ働く「ゼロ時間契約」(待機労働契約)の就業者数は78万人に減少。就業者全体に占める割合は2.4%で、2015年以来の低水準となった。

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