[シカゴ 9日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は9日、米経済は「極めて好調」に推移しており、年内あと1回もしくは2回の利上げが引き続き正当化されるとの見解を示した。

エバンズ総裁はインタビューで、年内の追加利上げは「あと1回、もしくは2回の可能性がある」と述べた。

「極めて力強い」米経済動向を踏まえ、インフレ率が米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%近辺で推移、もしくは小幅上回ることへの確信を強めているとした。

「インフレは2%に向け上昇しており、同水準近辺で推移すると予想する十分な根拠がある」とし、一部当局者が懸念するように低下に転じたり、FRBが一段と速いペースでの利上げを余儀なくされるほど加速することはないとの認識を示した。

さらに、失業率は低水準にとどまり、国内総生産(GDP)伸び率は少なくとも来年まで2.5─3%になるとの見通しを示した。

「経済は非常に良好な局面にあり、金融政策決定にとっても非常に良い時期だ」とした。

エバンズ総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていない。

金利が「中立水準」に近付く中、来年には利上げ停止を巡る討議が強まり、一段の利上げが必要なインフレリスクが存在するか、利上げが企業や家計を圧迫しないか見極めていくことになるとした。

ただ、FRBの現在の道筋は経済動向を整合性が取れているように見えるとし、雇用と物価安定に関する目標は事実上達成され、現在の状況に水を差すような差し迫ったリスクは存在しないとした。

「労働情勢は良好だ。家計のバランスシートも健全のように見られ、企業も楽観的な見方となっている。世界の経済状況も非常に良好のように見える」とした。

貿易摩擦は不透明な要素をもたらし、企業が設備投資を延期させる可能性があるとしつつも、現段階では減税や規制緩和、トランプ政権の支出拡大への期待によって影響は相殺されていると述べた。

影響をGDPの数値で見ると、わずか0.2─0.3%ポイント程度と指摘。「影響はなお比較的小幅で不確かだ。経済は極めて堅調に推移し、新たな財政刺激も実施された」とし、「向かい風は存在するだろう。しかし、追い風のように感じられる」とした。