[京都市 2日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳副総裁は2日、京都市内で会見し、先行きの金融政策運営について、物価2%目標をどのように実現していくかという観点のもと、効果や副作用の出方に応じて考えていく、と語った。

また、政策金利のフォワードガイダンスで低金利を維持するとした「当分の間」について、あらかじめ期間を決めているわけではないと述べた。ただ、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響は「非常に重要な要素」と語った。

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、長期金利目標や上場投資信託(ETF)の買い入れなどを柔軟化する金融緩和の持続性強化策を決めるとともに、「消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利水準を維持する」とした政策金利にかかわるフォワードガイダンスを新たに導入した。

雨宮副総裁は、フォワードガイダンスに示した「当分の間」の解釈を問われ、「不確実性を踏まえて経済・物価情勢を判断して決定するということであり、あらかじめこのくらいの期間とは決めていない」と語った。

そのうえで「向こうしばらくを展望すると、消費税率の引き上げの影響は非常に大きな判断の要素」との認識を示し、「その点をよく見極めていくことになる」と指摘。消費税率引き上げの影響がポイントになるとの見解を示した。

先行きの政策運営については「今後の効果や副作用の出方によっていろいろ考えていくべきことは考える」とし、「その場合には、物価安定目標をどうやって達成していくのか、という観点から検討していくことになる」と語った。

日銀が長期金利目標「ゼロ%程度」の範囲内でより大きい金利変動を容認したことを受け、長期金利に上昇圧力がかかっている。雨宮副総裁は「足元の市場動向について直接、コメントすることは控えたい」としながら、「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入を実施する」考えをあらためて表明した。

ETF買い入れは、年間約6兆円の金額を維持しつつ、「市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうる」と柔軟化された。雨宮副総裁は変動幅について「リスク・プレミアムを圧縮する観点から、市場動向を点検しながら買い方を決めていく結果として変動する」とし、「事前に上限、下限は考えていない」と述べた。

(伊藤純夫)