Microscale superlubricity could pave way for future improved electromechanical devices
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おおーNature Materialsに超潤滑性(superlubricity)に関する新たな報告。非常に地味ですがホットトピックです。摩擦とは、と聞かれたときに、どんな現象であるか説明できますでしょうか?
ミクロ(微小)なスケールで物質の表面を見てみると、どんな物質の表面にも必ず凹凸が存在します。そのため、それらの微小な凹凸がぶつかり合ったときには、バネのような機械的な抵抗や物理化学的な相互作用(ファンデルワールス力や分子間力など)が働き合うことにより、衝突部では高温かつ高圧環境となり、非常に特異的な反応が生じます。
その1つである発光現象は、ご存じの通り金属片同士をぶつけ合わせた際に生じる、火花が挙げられ、さらには、変な臭いが感じたり、色が変わるなどの化学反応による物質変化が生じているのを経験したことがあるかと思います。
このように摩擦現象は中学で習うような古典的物理に収まらず、化学や極限環境での物性物理などのまだ知られぬ科学が沢山眠っているのです。このような局所表面で生じる複合現象を掲載雑誌ではトライポロジカル現象と呼んでいます。[1]
本報告では、2つの異なる物質(グラファイトと六方晶窒化ホウ素)間の摩擦抵抗がほぼゼロに、あるいは極めて低くなることを初めて発見しました。特に、両者の結晶構造の噛み合わせの相性*がよく、動摩擦係数がほぼゼロになるようです。(*原理の詳細が本記事にも論文アブストラクトにも書かれていないので明日更新予定)
超潤滑性による摩擦抵抗の低減が実現すれば、言わずもがな大幅にエネルギー効率が向上するだけでなく、接触し合う素材のすり減りや劣化、突発的な破壊も防ぐことができます。ますます、自動車や大型機械の摺動部材への適用が期待されるでしょう。
[1] Yiming Song et al, Robust microscale superlubricity in graphite/hexagonal boron nitride layered heterojunctions, Nature Materials (2018).DOI: 10.1038/s41563-018-0144-z