(ブルームバーグ): ホンダは31日、今期(2019年3月期)の営業利益を前期比15%増の7100億円(従来予想は7000億円)に上方修正した。6月に発生したメキシコの水害のマイナス影響がコスト削減や二輪の販売好調による増益要因を押し下げた。市場予想の8195億円は下回った。

ホンダの発表資料によると、今期の売上高予想は従来計画をわずかに引き下げて同0.6%増の15兆4500億円とした。純利益予想は同42%減の6150億円に引き上げた。いずれもブルームバーグが集計したアナリストの予想平均値を下回っている。

従来の営業利益予想との比較では、コスト削減と二輪の好調、為替の影響などで約800億円のプラス要因になったが、6月下旬以降にメキシコで発生した洪水の影響でホンダの工場の操業がストップしたことが500億円のマイナス要因になるなどし、トータルではわずかな上積みにとどまった。また、今期の想定為替レートを1ドル=107円と前回見通しから2円分円安方向に修正している。

通期の四輪のグループ世界販売台数見通しは528万5000台と従来予想から9万台引き下げた。都内の本社で会見した倉石誠司副社長によると、水害の影響でメキシコ工場で生産する北米市場向けのフィットや新型インサイトなど7万5000台減となることなどを盛り込んだという。二輪については2085万台と従来予想から30万5000台上積みした。

4-6月期営業利益は前年同期比11%増の2994億円、売上高は同8.4%増の4兆241億円だった。いずれもアナリストの予想平均値を上回った。

SBI証券の遠藤功治アナリストは、4-6月だけを見ると「非常に好調。台数ベースで四輪も二輪も全般的に良かった」と指摘。一方で、上方修正した通期営業利益については、元々保守的だったため依然として市場予想を下回っており、「北米で低調なSUVなど第2四半期以降に懸念材料があるのか、ただコンサバティブなのかを見極めたい」と話した。

狭山工場は完全閉鎖

倉石副社長はメキシコ工場の復旧には約4カ月を要し、生産再開は11月中旬になる予定とした。貿易問題については北米自由貿易協定(NAFTA)の影響が最も大きいとしたうえで、現時点でまだ変更などは考えておらず、今後の対応は状況を見ながら考えていきたいとした。

倉石副社長はまた、中国でのSUV「CRーV」のリコール影響で受注が一時的に減少し、その後も昨年比マイナスが続いたものの「足元では受注は月2万台レベルまで回復している」とし、シビックなど他車種への影響はなく、今後発売する新型アコードでも挽回が期待できるため中国の販売計画は変更していないとした。

ホンダが閉鎖を発表した埼玉県の狭山工場について、部品工場として存続させる方針とした日本経済新聞の報道については、完成車組み立てを移管したあとに部品についても順次移管するという方針は変わっておらず、同工場は計画通り完全閉鎖するとした。

(外部コメントを追加します.)

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 佐野七緒 nsano3@bloomberg.net;東京 馬杰 jma124@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:岡田雄至 yokada6@bloomberg.net, 堀江政嗣

©2018 Bloomberg L.P.