意識を向けるものは拡大する

ブライアン・グラッソとキャリー・キャンベルの夫妻は「意識改革(マインドセット・トランスフォーメーション)」の重要性を広める活動を行っている。2人が公式サイト「Brian&Carrie」で公開している動画を視聴した人は何百万にものぼっている。
私が彼らに関心を持ったのは、2人が自ら開発した「意識改革トレーニング」を全米各地の学校に導入することを使命にしているからだった(しかも、それを実現させるための本格的な計画までできあがっている!)。
私は先ごろ、ブライアンとキャリーに話を聞く機会に恵まれた。その際に2人は、クライアントや生徒を対象に指導している「4つのステップ」について詳しく解説してくれた。その内容が科学的に妥当であることにいたく感心したので、ここでその内容を紹介したい。
私たちはインタビューで主に、無意識的なブロック(障害)があるときや否定的な感情が刺激された場合に何ができるかについて話し合った。
ブライアンとキャリーによれば、否定的な感情が刺激された場合に何をするかに目を向ける代わりに、そういったマイナスの感情が元々あまり生じないような生き方を目指さなくてはならないという。彼らによればそれは、日ごろから人生を絶えずアップグレードする心構えをもつことにほかならない。
心理学的に言えば、攻撃を最大の防御として生きるということだ。回避するのではなく、あえて近づく姿勢を持つのだ。
意識を向けるものは拡大する。つまり「精神的に参ったらどうするか」ということを絶えず気にかけていると、そうした状態を引き起こすきっかけやトラウマをますます招くことになる。
けれども、心構えや前向きな行動に目を向ければ、自信が増していく。そうすれば、準備態勢がしっかり整うので、否定的な感情のきっかけや障害など、どんなことに遭遇しようとも立ち向かうことができるだろう。
では、ブライアンとキャリーとキャリーが考案した自分の潜在意識を日ごろから再プログラミングするための4段階方式を紹介しよう。

1. 自分の使う言葉を知る

自分が発する言葉を知るとは、つまり自己認識することだ。自覚できていないことは変えられない。だから、日常的に口にする自分の言葉や口調を意識すべきだ。否定的あるいは制限するような話し方をするようになったら、意識して観察しよう。そうすれば対処が可能だ。
カギとなるのは説明責任を持つこと。ネガティブな話し方をしているときにそれを指摘してくれる人が身近にいると、自分の頭のなかで聞こえてくる声に耳を傾けるのにおおいに役に立つ。

2. 方向を確認する

方向を確認するとは、「自分のゴールは何か」を毎日欠かさず考え、評価するということだ。飛行機が目的地にたどり着けるのは、進むべき方向に向かっていることをパイロットがつねに確認しているからなのだ。
自分のゴールを毎日欠かさず再確認していないとすれば、あなたの人生は思った以上に道から外れているだろう。たとえほんの少しのずれであっても、外れたままの状態である程度進んでしまうと、人生はやがて台無しになり、内なる葛藤や他人との衝突から逃れられなくなってしまう。

3. 成功を数えあげる

自信は、成功したときに得られる副産物だ。成功したことを認め、評価するためには、毎日欠かさず自分のゴールと結びついた小さな成功を振り返らなくてはならない。
起業家向けにコーチングを行う「Strategic Coach」の創業者ダン・サリバンは、成功したことを毎日3つ数えることがいかに重要かを説いている。数えることで、勝つ姿勢が維持できるという。
とくに、ダンの言うところの「ギャップ(The Gap)」にばかり目を向けている起業家にとっては大事だ。ギャップとは、現在の自分と目標とする自分の間に存在する距離のこと。こうしたギャップに目を向けていると、ひっきりなしにストレスがかかった不幸な状態から抜け出せなくなる。
それよりも「得たこと(The Gain)」にフォーカスするよう、ダンはアドバイスする。そうすれば、自分がどれだけの距離を進んだかがわかる。自分が手にした成功に着目すれば、成し遂げたことを評価できるのだ。その時々に達成感を味わうことで、将来的な成功に向かって歩んでいけるようになるだろう。

4. 成果を思い描く

締めくくりとしてブライアンとキャリーが勧めるのは、毎日欠かさず時間を割いて、目指す自分を想像することだ。すでに達成したかのような気持ちで思い描こう。
これは、無意識のうちに抱いているリアリティを形にするためのもっともパワフルな方法の1つだ。感情を活性化させて想像するほど、こうした想像を定期的に行うほど、思い描いた未来の自分は現在の自分であると、ますます信じられるようになるはずだ。
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嵐が訪れたときのために、日ごろからどんな行動をしているだろうか。この4段階プロセスを、どのくらい頻繁に実践しているだろうか。4段階プロセスを1日10分から60分かけて実践したら、どんなことが起こるだろうか。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Benjamin P. Hardy/Contributor, Inc.com、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:Filograph/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.