[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は26日、予測不可能な世界の貿易摩擦を巡るリスクは存在するものの、現時点で金融政策の道筋の変更を正当化するものではないとの見解を示した。

ECBが来年10月に利上げに踏み出すとの市場の観測を支える発言となった。

ECBはこの日開催した理事会で、主要政策金利も予想通り据え置き、リファイナンス金利を0.00%、限界貸出金利を0.25%、中銀預金金利をマイナス0.40%とした。

ドラギECB総裁は理事会後の記者会見で景気に比較的明るい見通しを示すとともに、債券買い入れプログラムを年内に終了する方針を再表明し、金利が「2019年夏」まで現行の過去最低水準にとどまるとの見通しを維持した。

市場では現在、ECBが来年10月に10ベーシスポイント(bp)の利上げを実施するとの見方を完全に織り込んでいる。

ドラギ総裁は「市場の期待に関して言えば、ECB理事会の予想とうまく整合性が取れている」と述べた。

金融政策のガイダンスについては、「現時点で、金利を巡るフォワードガイダンスの文言を調整したり、新たに追加する必要はないと考える」とした。

満期償還を迎えた保有債券の再投資を巡っては、加盟各中銀の寄与度に基づき決定する考えを表明。再投資問題に関し新たな議論はなかったとも語った。

また、「大規模な金融刺激が引き続き必要」とした。

ユーロ圏域内の経済情勢については、底堅く裾野の広い成長となることをECBは引き続き予想しているとし、最近の経済指標が全般的に失望を誘う内容となっていることについては重要視しない考えを示した。

ただ、成長鈍化の兆候が台頭し始めたことも指摘し、輸出が幾分失速したことに言及。「報復の応酬を伴う貿易戦争は、極めて異なる状況を引き起こす」とし、世界の貿易摩擦に端を発する状況の変化に警戒心を示した。

同時に、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長とトランプ米大統領が前日、自動車を除く工業製品に対する貿易障壁の撤廃に向けて取り組むことで合意したことについては、「内容を見極めることは時期尚早」としつつも「良好な兆候」とも評価した。

*内容を追加して再送します。