iPS細胞による血小板が拓く医療の可能性 ~CiRA江藤教授の挑戦~
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iPS細胞を使った再生医療製品アプリケーションの中でもフロントラインを走る江藤先生の血小板PJ。最近でたCellの内容がインタビューと共に詳しく載っている貴重な記事。
・血小板の有効期限は米国5日、日本では4日と短く、2027年には必要量全体の20%が足りなくなるとの試算もある。
・実用化が期待されるとともに、実は世界的に競争の激しい分野。
・血小板はもととなる巨核球からちぎれてできる細胞片なのでがん化のリスクがないとされるところは優位性が大きい。
しかしながら、他の再生医療製品とはまさに次元が違う細胞数を製品として要求される( > 2x10の11乗 )ため大量培養技術が不可欠である。今回の論文は、高解像度の画像解析と、それによる鋭い考察から実際に大量に血小板を産生する巨核球に乱流にさらされているものとされていないものがあることに気づき、そこから展開する丁寧なサイエンスによって、重要因子の同定にも成功している。
実用化研究というのは、細かな最適化のプロセスも多く、一般的には大きな大発見を行うことは難しく、なかなか論文になりにくいのが常である。そんな中、最終的には観察的事実から重要因子の同定とメカニズムの解明という基礎研究レベルでも大きな発見に帰着させている点、素晴らしいお仕事。3日前に冊子版が出版されたが見事に表紙絵(VOLUME 174, ISSUE 3)を飾っています。
CiRAプレスリリース:乱流が臨床レベルの大量の血小板作製を可能にする
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/180713-090000.html
ARTICLE, VOLUME 174, ISSUE 3, P636-648.E18, JULY 26, 2018
Turbulence Activates Platelet Biogenesis to Enable Clinical Scale Ex VivoProduction
https://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(18)30736-0