(ブルームバーグ): 日本銀行は23日、指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる指し値オペを5カ月半ぶりに実施した。日銀が副作用の蓄積に対応して金融緩和策に修正を加えるとの報道をきっかけに長期金利が急上昇したことに対応した。一方、来週の金融政策決定会合までは政策調整を巡る観測がくすぶるとの見方が出ており、金利の戻りは鈍い。

日銀は午前10時10分の金融調節で、固定利回り方式で国債を買い入れる「指し値オペ」を通知した。対象年限は残存期間5年超10年以下で、同オペの実施は2月2日以来。新発10年国債利回りで0.11%と、昨年2月、7月と今年2月に実施された時と同じ水準に設定された。

日銀金融市場局の担当者は、長期金利の急速な上昇を踏まえ、指し値オペを実施した、とブルームバーグの電話取材に答えた。10年国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融政策運営方針をしっかり実現するよう実施するとあらためて説明した。

野村証券の中島武信クオンツ・ストラテジストは、指し値オペ実施について、「副作用対応のための政策微調整に関する報道を受けた金利上昇を放置することはできなかったと思われる。あすは40年債入札が予定されており、一段と金利が上昇した場合は緊急オペができないため、早めに手を打ったとみられる」と述べた。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の351回債利回りは一時0.09%と、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値を6ベーシスポイント(bp)を上回り、2月2日以来の高水準を付けた。日銀オペ通知後には0.065%まで戻したが、午後は0.08%付近で推移。同オペ結果によると、指定された金利水準が市場実勢に達しておらず、金融機関からの応札はなかった。

ロイター通信が複数の関係者の情報として20日に報じたところによると、日銀は30、31日の日程で開く金融政策決定会合で、利回り目標の柔軟化を検討する可能性がある。また、21日付の朝日新聞朝刊は、日銀が今回の会合では具体的な対応策について結論を出さず、声明文に緩和の副作用に配慮した政策を検討することを示す文言を盛り込む可能性があると報じた。

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日銀は指し値オペ実施で「政策の変更意図はないというところを示した」と指摘。ただ、「あすは40年債入札を控えている上、来週の日銀決定会合を控えて、先行きは政策調整の議論が出てくることは間違いないとの見方も残る」とし、金利の戻りは鈍い状況としている。

一方、同時に通知された国債買い入れオペでは、残存期間1年以下が500億円、1年超3年以下が2500億円、3年超5年以下が3000億円といずれも前回から据え置かれた。

(第3、6段落を追加して更新します.)

--取材協力:日高正裕.

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