[北京 16日 ロイター] - 欧州委員会のユンケル委員長は16日、訪問先の北京で、中国が望めば同国経済は開放されるとの見解を示した。中国に対しては、米国との貿易摩擦が激化する中、産業政策を巡り圧力が高まっている。

中国の李克強首相は、人民大会堂で開いたユンケル委員長とトゥスクEU大統領との共同会見で、自由貿易と多国間主義を維持する必要性を強調した。

ユンケル委員長は「中国が希望すれば(経済は)開放できる。中国はその方法を知っている」と述べた。

トゥスク大統領は中国、米国、その他の国に対し、貿易戦争を開始しないよう要請。また世界貿易機関(WTO)について、トランプ米大統領による関税の根拠となっている技術移転の強制や政府の補助金に対応できるよう、改革を呼び掛けた。

トゥスク氏は「産業向け補助金、知的財産権、技術移転の強制、貿易関連コストの削減の分野で新たな規則、また紛争解決に向けたより効果的な方法などが必要だ」と指摘。「対立と混乱を回避する時間はまだある」と述べた。

駐EU中国大使は15日、中国国営メディアに寄稿し、中国とEUの首脳会談について、「一国主義と保護主義の騒音」が広がる中、中国とEUがどのようにして「安定性の標準」となれるかが焦点となるとの考えを示した。

李首相はWTOの権限を改善したいと述べたが、詳細には言及しなかった。中国が外国企業の市場アクセスを大幅に改善し、関税を引き下げ、より均衡のとれたEUとの貿易を模索するとの方針を改めて示した。

「自由貿易を保護するために共に発言することで世界に前向きなシグナルを送ることになる」と述べた。

EUでは中国の市場の一段の開放に向けた実際の取り組みに懐疑的な見方が強く、また中国が東欧への経済的影響力を持ち、EUの分裂を目指しているとの懸念が出ている。

一方で欧州当局者は、トランプ大統領が、EUと中国の関係が世界貿易の「防波堤」になり得ることを示す機会を与えたとの見方を示した。

李首相はその後出席したビジネスフォーラムで、中国で事業を行う欧州企業の幹部らに対し、問題があれば互いに共有しようと呼び掛けた。

欧州航空機大手エアバスは中国政府の認可の遅れが「大きな損失を引き起こしている」としているほか、独自動車大手のBMWも業界基準の設定により大きく関与できるよう求めている。

代表取材によると、李首相はエアバスの中国代表に対し「われわれは契約の実行を確実にし、許認可手続きの時間を短縮化する」と述べたという。

李首相はほかにも、欧州企業に対し知的財産権が盗まれた事例を知らせるよう要請し、「大規模な措置」を取る可能性を示した。ただ、企業から報告があったかどうかは不明だ。

また習近平国家主席も欧州指導者らと会談し、双方が「多国間主義やルールに基づいた自由貿易制度を守るために手を取るべきだ」と述べた。

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