[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した6月の輸入物価指数は前月比0.4%下落と、2016年2月以来、2年4カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。石油製品が値下がりしたほか、ドル高が輸入物価を抑制した。市場予想は0.1%上昇だった。

5月の数字は当初発表の0.6%上昇から0.9%上昇へ改定された。

6月の前年同月比は4.3%上昇した。5月は4.5%上昇だった。

トランプ米政権は今月に入り40億ドル相当の中国製品に対し25%の関税を発動。これに続き今週、追加的に2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。

ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スィート氏は「関税措置により輸入物価が押し上げられる公算が大きい」とし、「鉄鋼とアルミニウムに対する関税は当初は適用が除外された国が多かったことなどで物価押し上げ効果は緩やかなものだったが、こうした状況は変化した」と指摘。

バークレイズ(ワシントン)のエコノミスト、ブレリナ・ウルシ氏は「関税措置の影響が浸透し始めれば、先ず輸入価格に反映される。その後はゆっくりと卸売物価と消費物価に影響が広がっていく」との見方を示した。

一方、JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「労働市場が引き締まりつつあることは物価の上昇圧力になると考えているが、このところのドル相場上昇のほか、商品(コモディティー)価格の下落が6月は輸入価格の押し下げ要因になった」としている。

石油製品は前月比0.8%下落し、5月の7.4%上昇からマイナスへ転じた。石油を除く輸入物価は0.3%下落。5月は0.1%上昇していた。6月の前年同月比は1.4%上昇だった。

石油を除く輸入物価の下落はドル高が要因とみられる。ドルは6月、米国の主要な貿易相手国の通貨に対して1.6%上昇した。年初来からは貿易加重ベースで3.8%上昇している。木材や鉄鋼、アルミニウムの輸入関税による輸入物価の上昇をいくぶん相殺するとみられる。

石油を除く産業用資材・原料は0.3%上昇した。金属や紙の値上がりを反映した。5月は0.8%上昇していた。

資本財は2カ月連続で0.1%下落した。自動車も2カ月連続で0.1%下落した。自動車を除く消費財は0.3%下落した。

食品は2.6%下落し、12年2月以来の大幅な値下がりだった。5月は0.4%上昇していた。

中国からのモノの物価は横ばい。5月は0.1%上昇していた。6月の前年同月比は0.5%上昇と、14年5月以来の大幅な値上がりだった。

同時に発表された6月の輸出物価は0.3%上昇。5月は0.6%上昇していた。農産物は1.0%下落。大豆が2.6%下落したことが全体を押し下げた。トウモロコシは3.1%下落した。

6月の輸出物価の前年同月比は5.3%上昇。5月は4.9%上昇していた。