[ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は12日、今年のユーロ圏の域内総生産(GDP)伸び率予想を2.1%へ引き下げた。米国との貿易摩擦と原油価格の上昇を主な理由に挙げた。

5月時点では2.3%の伸びを予想していた。2019年の予想は2.0%に据え置いた。ユーロ圏の成長率は17年は2.4%だった。

欧州委のドムブロフスキス副委員長は「GDP予想の引き下げは、米国との貿易摩擦の激化など外部環境の悪化が信頼感を損ない、経済成長の足かせになりかねないことを示している」と述べた。

モスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は、貿易摩擦がさらにエスカレートした場合には欧州と世界経済への悪影響は一段と大きなものになると警告。「貿易戦争に勝者はいない。犠牲者だけだ」と語った。

欧州委は石油価格の上昇も景気減速につながると指摘。インフレ率見通しを2018年は1.5%から1.7%へ、19年は1.6%から1.7%へ引き上げた。

<英国とイタリアの弱さ顕著>

国別ではドイツの成長率予想を2018年は2.3%から1.9%へ、19年は2.1%から1.9%へ引き下げた。

フランスも今年の予想を2.0%から1.7%へ、来年は1.8%から1.7%へ下方修正した。

ユーロ圏で今年最も弱い伸びが見込まれるのはイタリアで、最新の予想は1.3%。前回予想は1.5%だった。19年は1.1%へと一段と減速する見通し。欧州委はイタリアの新政権の歳出計画を巡り、「経済政策への懸念や不透明感が再燃している」ことが一因とした。

EU28カ国の中では今年の英国の成長率が1.3%とイタリアに並んで最も低い伸びになると予想した。5月時点での予想は1.5%だった。EUを離脱する予定の19年は、成長率は1.2%との予想を示した。一方でインフレ見通しは2.5%から2.6%へ引き上げた

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)