[11日 ロイター] - 米商務省は11日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)<0763.HK> <000063.SZ>との合意書に署名したことを明らかにした。これにより、米政府が4月に導入したZTEへの制裁措置は解除され、同社は米企業との取引を再開できる見通しとなった。

商務省は「ZTEが4億ドルの第三者預託(エスクロー)を完了した段階で解除通知を行う」としている。

ZTEからのコメントは得られていない。

米政府は4月、ZTEが米国の対イラン・北朝鮮制裁に絡む合意に違反したとして米企業からの部品調達を7年間禁止。ZTEは主要事業が停止する事態に陥っていた。

その後、双方は6月に、10億ドルの罰金や4億ドルの預託金の支払い、取締役会と経営陣の刷新などで合意。預託金は今後何らかの違反があれば没収され、その場合は米企業との取引が再び禁止される。

商務省は先週、ZTEに対する制裁の一部を解除し、8月1日までの1カ月、既存業務の再開を容認していた。

ZTEに関する新たな発表に先立ち、トランプ政権は10日、追加で2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。

商務省は声明で、ZTEを巡る今回の措置は法執行の問題であり、通商政策の議論とは関係がないと説明した。

ZTEに製品を供給していた米企業は、制裁解除を待ち望んでいる。昨年にZTEが米企業200社超に支払った金額は23億ドルを超える。

ZTEとの取引への依存度が高い、アカシア・コミュニケーションズ<ACIA.O>など中小の米メーカーの株式は政府の発表を受け、下げ幅を縮小した。

上院は先月、対ZTE制裁解除に関する米政府合意を無効とする項目を盛り込んだ法案を可決。今後の上下両院議員による協議でこの項目が維持されるかどうかが決まる。

合意に反対する民主党のチャック・シューマー上院院内総務は11日、ZTEとの合意は「ひどい内容」とし、「米国の国家と経済の安全保障を損なう」と発言。両院の共和党議員が上院で可決した法案の文言を維持することに期待すると述べた。

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