[ニューヨーク 29日 ロイター] - ニューヨーク外為市場は、欧州連合(EU)首脳らが難民・移民問題を巡って合意、ドイツのメルケル首相への圧力が和らいだと受け止められ、ドルが対ユーロで3営業日ぶり安値を付けた。

ただ四半期ベースで見ると、ドルは6四半期で最高のパフォーマンスを記録する勢いだ。

EU首脳会議は、難民・移民申請を取り扱う共同の審査機関を域内に設置することや、域内での難民・移民の移動を制限することなどで合意した。ドイツの連立政権は崩壊の可能性も取り沙汰されていたが、合意で回避した格好だ。

ACLSグローバルの首席ストラテジスト、マーシャル・ジトラー氏は「合意でメルケル連立政権崩壊の不安が強まる事態は起こらないだろう。ユーロにはプラス材料」と話す。

ユーロは対ドル<EUR=>で0.83%高の1.1663ドル。

主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.76%安の94.663。

ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツの世界商品・市場戦略ディレクター、カール・シャモッタ氏は、第1・四半期の英国内総生産(GDP)確報値が上方修正され、金融政策引き締め観測が広がり、英ポンドが2営業日ぶり高値を記録したことが、ドルを圧迫したと指摘する。

5月の米個人消費支出は前月比0.2%増、4月は当初発表の0.6%増から0.5%増へ下方改定された。

それでも、ドル指数は四半期を5%強上昇して終える見通し。米連邦準備理事会(FRB)が、他の主要中銀よりも早く政策を正常化するとの見方などが追い風となった。

メキシコ大統領選を控える中、ペソは対ドル<MXN=>で1カ月ぶり高値を付けた。

カナダドルは対米ドル<CAD=>で10営業日ぶりの高値を記録した。4月GDPが予想を上回り、来月の利上げ観測が高まった。

人民元<CNY=CFXS>は月間で過去最大の下げとなった。対米貿易摩擦が中国経済に与える影響に懸念が広がった。

(表はロイターデータに基づいています)