[26日 ロイター] - <為替> 米国と他国の貿易摩擦激化への懸念がリスク選好の重しとなる中、ドルが対円で一時2週間ぶり安値を更新した。

ドル/円<JPY=>は0.44%安の109.48円。一時、2週間ぶり安値となる109.38円を記録した。

米財務省は、中国資本が25%以上を占める企業に対し、「産業上重要な技術」を保有する米国企業の買収を禁じる規則を策定している。政府当局者が24日、明らかにした。

ムニューシン米財務長官は、財務省が導入を計画している米ハイテク企業への投資制限について、中国だけに限定した措置ではなく、「米国の技術を盗用しようとする全ての国」が対象になると言明した。

貿易問題を巡る緊張が高まり、世界株式市場を圧迫した。

市場関係者の1人は「新しい1週間が始まったが、トランプ米大統領が中国や欧州連合(EU)に対し通商問題で脅しを強め、リスク選好の重しとなり続けており、(前週までと)同じ懸念が根強い」と話す。

主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.28%安の94.249。

中国人民銀行(中央銀行)が、市中銀行の預金準備率引き下げを公表したことを受け、人民元はオンショア取引を6カ月ぶり安値で終えた。

ユーロは対ドル<EUR=>で0.45%高の1.1708ドル。一時は約1週間ぶり高値の1.1713ドルを記録した。

ただ、ドイツのメルケル首相が移民・難民問題の対応に追われ、ユーロは引き続き不安定な域内政治の影響を受けやすい。

原油相場急伸の勢いが弱まり、資源国通貨の豪ドル<AUD=>やニュージーランド(NZ)ドル<NZD=>、カナダドル<CAD=>は軟調となった。

<債券> 長短金利差が約10年ぶりの水準に縮小。通商問題やユーロ圏内の対立を巡る懸念が強まる中、世界経済が減速しつつ、連邦準備理事会(FRB)による利上げの動きが停滞するとの連想から長期債への買いが進んだ。

DRWトレーディング(シカゴ)の市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏は「パウエルFRB議長の見立てでは、米経済は足元堅調で、減税による後押しにより向こう1─2年も引き続き底堅いもようだが、通商問題はこうした見通しに織り込まれていない。なぜなら指標に反映されていないからだ」と述べた。

中国資本が25%以上を占める企業に対し、米財務省が「産業上重要な技術」を保有する米国企業の買収を禁じる規則を策定中と報じられたことで、通商問題を巡る懸念が強まった。 ムニューシン米財務長官は25日、財務省が導入を計画している米ハイテク企業への投資制限は中国だけに限定した措置ではなく、「米国の技術を盗用しようとする全ての国」が対象になると言明した。

10年債<US10YT=RR>は5/32高。利回りは前週末の2.9%から2.884%に低下した。2・10年債の利回り格差は33ベーシスポイント(bp)と、2007年以来の水準に縮小した。

ユーロ圏市場では、移民・難民問題を巡り、域内の対立が深まるのではないかとの懸念が広がる中、イタリア国債が下落する一方、ドイツ国債は値上がりした。移民・難民の受け入れ問題自体は市場にとって主要な懸念材料ではないものの、それが域内の統合やドイツ国内の政治などに及ぼす影響が不安視されている。同問題は28─29日のEU首脳会議でも主要な議題となる見込みだ。

財務省は翌26日に2年債340億ドル、27日に5年債360億ドル、28日に7年債300億ドルの入札を実施する。

<株式> 大幅安。米国と主要諸国との貿易摩擦がエスカレートの兆しを見せる中、S&P総合500とナスダック総合は2カ月以上ぶりとなる大幅な下げを記録した。

ダウ平均は2016年6月以来で初めて、200日移動平均を下回って終了した。

米政府高官は24日夜、中国資本が25%以上を占める企業に対し、「産業上重要な技術」を保有する米国企業の買収を禁じる規則を策定中だと明らかにした。

これを受け、25日の取引でS&P500は一時2%下落。その後、ムニューシン財務長官が財務省が導入を計画している米ハイテク企業への投資制限について、中国だけに限定した措置ではなく、「米国の技術を盗用しようとする全ての国」が対象になると説明した。

一方、ホワイトハウスのナバロ通商製造政策局長は25日のCNBCとのインタビューで、トランプ政権が提案する米ハイテク企業への投資規制はいずれも中国を視野に入れたもので、世界全体を対象としているわけではないとの認識を示した。

これを受け、主要指数はこの日の下げの一部をようやく取り戻した。

投資家は、ナバロ氏の発言は幾分安心感を与えるものだが、通商関係を巡る不確実性はまだ残っていると指摘する。

株価は大半のセクターで下げたが、最も下げたのはハイテク株。ハイテク株の比率が大きいナスダック総合は2.1%安で引けた。S&P情報技術株は2.3%下げ、下落率は2カ月超ぶりの大きさを記録した。

フィラデルフィア半導体指数<.SOX>は3.1%下落。

個別銘柄では、米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソン<HOG.N>が6%安。同社は25日、欧州向けオートバイの生産を米国から海外に移す方針を発表。米国が今月から欧州連合(EU)などに適用した鉄鋼・アルミニウム製品への輸入関税に対抗し、EUが農産物やオートバイを含む米製品に25%の関税措置を発動したことを受けた動き。同社はさらに、EUの報復関税の影響で、年間のコストが9000万─1億ドル拡大するとの見通しを示した。

<金先物> 世界的な貿易摩擦激化に伴う商品需要の減退観測に圧迫され、小幅に反落した。中心限月8月物の清算値は前週末比1.80ドル(0.14%)安の1オンス=1268.90ドル。

<米原油先物> 米株価の大幅下落などを背景にリスク資産である原油への投資意欲が高まらない中、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値は前週末比0.50ド ル(0.73%)安の1バレル=68.08ドル。9月物の清算値は0.59ドル安の6 7.04ドル。

(※関連情報やアプリは画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)