[ロンドン 22日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀、BOE)は22日公表した四半期報告書で、中国の急激な景気減速による英経済へのリスクは、従来見込みの約1.5倍に拡大する可能性があるとの見方を示した。

中国経済は、高リスク融資に対する数年来の取り締まりが借り入れ金利の上昇を招いていることから、減速が鮮明になり始めている。

BOEの報告書は、中国経済がさらに急激に減速した場合、英国には主に貿易を通じて影響が及ぶことになると説明。そのうえで、金融面では、英国は中国と直接的に、あるいは香港を通じて間接的に、「特有」の深い関係を築いているとした。

英銀行の中国本土および香港へのエクスポージャーは、米国、ユーロ圏、日本、韓国へのエクスポージャーの合計を上回っているという。ただ、世界金融危機以降の英銀行の資本増強策により、中国経済の大幅な減速の悪影響を和らげることができるとの見解を示した。

また、中国経済の減速はコモディティー(商品)市場などを通じても英国に影響を及ぼすことになるとした。

「これらを総合すると、中国から英国への波及は、従来示されたよりも約50%大きくなる可能性が高い」と記されている。

BOEの報告書は、中国の成長率が緩やかに鈍化した場合でも、英国の国内総生産(GDP)を0.4─0.5%押し下げる可能性があると指摘。「ハードランディング」により中国のGDPが従来想定比で10%縮小した場合は、押し下げ効果は1.3─1.4%になると予想した。そのうえで、金融市場を通じたさらなる波及が見込まれることから、実際の押し下げ効果は予想よりも大きい可能性があるとした。