[20日 ロイター] - 米メディア大手の21世紀フォックス<FOXA.O>は20日、同社事業の買収を計画している米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー<DIS.N>が買収額を713億ドルに引き上げたと発表した。対抗馬の米ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャスト<CMCSA.O>が先週提示した650億ドルを上回る規模。

新たな提示額は1株当たり38ドルで、昨年12月に出した最初の提案から10ドル高い。現金と株式半々による買収になるという。

コムキャストは13日、1株当たり35ドルの現金による買収額を提案しており、フォックスの取締役会はディズニーの今回の提案について、コムキャスト案より「優れて」おり、「世界有数の革新的で偉大な企業の誕生につながる」との見方を示した。

ディズニーはフォックスの純負債約138億ドルも引き受ける方針で、これを含めた買収総額は約851億ドルとなる。

フォックスは、株主がディズニー案を評価する時間を持てるよう、臨時の株主総会を延期すると発表した。

ディズニーの新たな提案は、フォックスの最大株主であるメディア王、ルパート・マードック氏にとっても魅力的となる可能性がある。税制の専門家によると、コムキャストの全額現金による買収案を受け入れた場合、マードック氏は多額のキャピタルゲイン税を支払う可能性があるという。

ディズニーの買収案引き上げを受け、コムキャストは対抗案を提示するか判断を迫られる。コムキャストの関係者はコメントを控えたが、アナリストや投資家の間では同社が対抗案を示すとの見方が有力だ。

ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は、競争法上の懸念に否定的な見方を示し、過去半年にわたり世界各国の規制当局と協議してきたとコメント。「当局の承認取得や取得時期という点でコムキャストよりかなり有利な立場にある」と述べた。

CNBCはブルームバーグ・ニュースの報道として、ディズニーが本案件の承認について米司法省と近く合意する見通しだと伝えた。ディズニーはこの報道について現時点でコメントを控えている。

ディズニーのクリスティーン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は電話会見で、取引完了後にフォックス株主が保有する統合新会社の株式は19%前後になると明らかにした。

同CFOはまた、12月に発表した200億ドルの自社株買い計画を中止する方針を示した。

20日の米国株式市場でフォックスは7.5%急伸。ディズニーも1%上昇した。コムキャストは1.8%高。

ロンドン市場では、フォックスが完全子会社化を目指すスカイ<SKYB.L>が3.1%上昇。ディズニーによる修正案を受け、フォックスがスカイへの提示額を引き上げるとの期待が高まった。

*内容を追加しました。