【前園真聖】西野流「奇跡力」と、停滞する日本代表への提言

2018/6/18
――日本サッカーが過去に起こした「奇跡」を振り返ると、1996年アトランタ五輪のグループリーグ初戦でブラジルを1対0で下した「マイアミの奇跡」が真っ先に思い浮かびます。前園さんは中心選手の一人でしたが、どのようにあの試合に臨みましたか。
前園 当然、ブラジルのほうがはるかに強いと認識しながら、どうすればチャンスが生まれて少しでも勝てる可能性があるのか、西野(朗)監督を中心にスカウティングも含めて行いました。
日本がオリンピックに出たのは28年ぶりで、ワールドカップにもまだ出たことがないときだったので、自分たちのサッカーでどれくらい世界とやれるのかという気持ちがありました。いまとは別の話だと思います。
西野監督は僕らの気持ちをわかりつつ、相手の力を考えると自分たちのやり方を変えなきゃいけないし、やるべきことをやらなきゃいけない、と。僕らもブラジルの分析やビデオを見て、「自分たちのやり方をやりたくても、できない相手だな」と理解しました。
(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)
そのなかで守備的になる時間が長くなり、自陣からパスサッカーでつないでいくのは難しいと。手数をかけずに、いい形でカウンターを狙えるところは狙おうということで、ちょうど1点目、相手のミスにつながりました。
あのプランニングはずっとしていたんですよ。DFのアウダイールは足が遅かったですし、裏のスペースは当然空いてくるので、そこをシンプルに狙うのは考えていて、それがハマったというか。
「奇跡」という言い方はちょっと大げさかもしれないですけど、僕らは入念に分析して、やることをやったのが、きれいな得点じゃないですけれども1点につながって、結果的に勝利につながったっていうことですね。
――実力差はあっても勝つ方法を求めていけば、どの相手にでもああいうことは起こり得ますか。
サッカーでは当然、何が起こるかわかりません。僕らがアトランタでブラジルと戦ったときよりいまのほうが可能性はあるので、十分に戦えると思います。