「スタートアップ国家(Startup Nation)」として知られるイスラエル。先日、建国70年を迎えたことを記念して、注目すべき70社を紹介する。前編では「アドテクノロジー」「 農業」「自動運転車」「サイバーセキュリティ」4分野から34社を紹介しよう。

人口1人あたりのスタートアップ数、世界最大

イスラエルは、今から70年前の1948年5月14日に建国された。最近ではアメリカのトランプ大統領が大使館をテルアビブからエルサレムに移転したことで論議を呼ぶなど、何かと政治的論争の的となる国だ。しかしその一方で、テック系スタートアップが多く集まるホットスポットしての注目も浴びている。
イスラエルはわずかの期間で、脆弱で資源に乏しい弱小国から、成長著しい民主的かつ革新的な国家へと進化を遂げた。
「スタートアップ国家(Startup Nation)」という別名もある同国は、世界に先駆けたさまざまな技術的発明を推し進めており、ドリップ灌漑システムから淡水化技術、自動運転車や医学の飛躍的進歩まで、その分野は幅広い。
人口1人あたりのスタートアップ数は世界最大であり、自動運転車やサイバーセキュリティ、業務系ソフトウェア、クリーンテクノロジー、デジタルヘルスなどで世界を牽引している。
何千ものスタートアップ、何百もの投資家、数十ものアクセラレーターをはじめとした数多くのリソースを抱えるイスラエルのエコシステムは着々と成長し、並外れた結果を出し続けている。

1. アドテクノロジー

Cedato 動画用のプログラマティック・オペレーティングシステムを開発し、SaaS型動画の技術スタックをパブリッシャーや広告主に提供している。
Connatix 動画配信と収益化を行うパブリッシャー向け独立系プラットフォーム。
Playbuzz 双方向性ストーリーの制作・配信・収益化を支援。
Perion 企業やパブリッシャーに、データ主導型オンライン広告配信サービスと検索ソリューションを提供。
PLYmedia 広告配信ネットワーク向けの、パフォーマンス連動型アドエクスチェンジ・プラットフォーム。
Taboola 好みのコンテンツを探す消費者や、収益化を目指すパブリッシャー、魅力ある広告コンテンツを提供したい企業を支援するコンテンツ・ディスカバリー・プラットフォーム。

2. 農業

3PLW 家畜の排泄物や生ごみ、肥料の流出液からバイオプラスチックを製造している。
AgriTask 画像や天候、センサーからデータを収集し、収穫量を予測。コストとリスクを軽減しつつ収穫量を増やせる方法についての洞察を導き出す、農家向けソフトウェアを提供。
Amaizz 食料の乾燥・冷蔵・保存を最も効果的に行い、損失と健康リスクを最小化できる製品を製造・販売している。
Biofeed 殺虫剤を使用せずに植物や作物から害虫を遠ざけておける技術を開発。
Groundwork BioAg 植物の根と共生して栄養吸収を助ける菌類「菌根」を世界各地の土壌に広めることを目指すバイオ農業スタートアップ。
HomeBiogas 食品廃棄物を、調理用ガスや液体肥料に変える家庭用システムメーカー。
Prospera 農業をデジタル化してスマートビジネスへと変換するための農業デジタルシステム。
Taranis 病害の予防や天候予測、収穫量増加を助ける精密農業インテリジェンス・プラットフォーム。
Trellis 人工知能(AI)を使って収穫状況を予想し、量と質を確保したり、供給スケジュールや価格予測を立てたりできるシステムを提供。

3. 自動運転車

Argus 自動車そのものやカーディーラーをハッキングやサイバー攻撃から守る高度なセキュリティ製品を提供。
Autotalks 自動車同士がコミュニケーションを取れる車車間プラットフォーム。
Gett ライドシェアや宅配便をはじめとした輸送ビジネスを手がけるオンデマンド配車サービス。
Innoviz スマート3Dセンサーやセンサーから得た情報を融合するセンサーフュージョン、精密なマッピングと位置測定といった自動運転技術を開発するスタートアップ。
Mobileye AIと深層学習を活用して自動車の安全な自律走行を可能にする視覚ベースのハードウェアとソフトウェアシステム開発スタートアップ。
Nexar スマートフォンを車載カメラとして使用。リアルタイムで道路状況を分析し、危険を察知するアプリ。
Oryx 電磁波を検出して、自動運転車が、より遠方をより正確に確認できるナノアンテナを開発。
Otonomo 自動車メーカーや配車サービス、アプリケーション開発者がデータを共有したり統合したりできるデータ用マーケットプレイス。
Regulus 自律走行車が、センサーシステムや通信チャンネル、走行データへの干渉なしに、スムーズに走れるようにするシステム。
Vayyar Imaging 高周波を利用したレーダーイメージ3次元センサーにより、ほとんどあらゆる素材を透視して3D物体の配置や状態をマッピングできる技術を開発。
Via リアルタイムで使えるライドシェアサービス。利用者は相乗りできる車をすぐに探し、より割安な料金で目的地に行くことができる。

4. サイバーセキュリティ

Aperio Systems 重要な社会インフラや工場などをサイバー攻撃から守るシステム。
BufferZone Security ゼロデイ攻撃やドライブ・バイ・ダウンロード(Drive-by Download)、フィッシング詐欺、持続的標的型攻撃(ATP)などから企業を保護する、エンドポイント・セキュリティ・ソリューションを提供。
Claroty 産業用制御システムを脆弱性から守る一連の技術を開発。
Deep Instinct 深層学習とAIを使ったマルウェア対策製品を開発・販売している。
Illusive Networks 偽の情報をもぐりこませてサイバー攻撃者をだまし、罠へと誘い込む製品を提供。
Imperva クラウドや業務用アプリケーション、データベースをサイバー攻撃の脅威から保護するサービスを提供。
SenseCy 人間による諜報活動(HUMINT)とウェブインテリジェンス(WEBINT)を組み合わせて、サイバー脅威インテリジェンス(CTI)をビジネスに活用するソリューションを提供。
Team8 サイバーセキュリティのシンクタンクであるとともに、投資会社としてサイバー企業の起業を後押ししている。
※ 続きは明日掲載予定です。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Dave Kerpen/CEO, Likeable Local、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:kirill4mula/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.