(Bloomberg) -- ソニーが22日、今後3年間の中期経営計画を発表する。吉田憲一郎社長にとっては就任後、自身の口から成長戦略を語る初めての場となる。前期はゲームや半導体、金融などの好調で7349億円と過去最高の営業利益を稼ぎ出した同社に、早くも市場からは厳しい注文が突き付けられている。

SMBC日興証券の桂竜輔シニアアナリストらは16日付のリポートで、ソニーの目標株価を7000円から7600円に引き上げた。18日終値の5416円より約4割高で期待の大きさが示された。桂氏はこれからさらに成長を目指すには、音楽や映画などのエンタメ事業での知的財産(IP)投資の強化が最重要命題だと指摘した。

ソニーの前期(2018年3月期)の収益構造は、ゲーム関連、半導体、金融で営業利益全体の7割を占める。音楽事業は好調だったが、ヒットに左右されやすい映画事業はこれらに比べて見劣りし、コンテンツ事業で好調を維持することの難しさが示された。映画事業は17年3月期に1000億円超の損失を出している。

ゴールドマン・サックス証券の杉山賢アナリストらも4月28日付のリポートで、今月22日に吉田氏が公表する成長戦略は、家庭用ゲーム機プレイステーション4の活況継続に加え、アニメIPのゲーム化などによる音楽事業の成長、映画事業の業績回復の3つが核になるとみている。

リカーリング

吉田氏は平井一夫前社長の下で最高財務責任者(CFO)として一時赤字に陥ったソニーの業績回復を支えた。しかし、パソコン事業の売却やテレビ事業の分社化を断行した結果、ハードウエアの販売が減少するなど収益構造が変化した。

サンフォードC・バーンスタインの香港在住アナリスト、デビッド・ダイ氏は、これまでの吉田氏の発言には、「コンテンツ事業などで(販売後も顧客から継続的に収益を上げる)リカーリングビジネスによる収入こそが成長ドライブであり、成長を持続させるものだとの明確なヒントが含まれている」と指摘する。

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