(Bloomberg) -- マネックスグループの松本大社長は、米国で仮想通貨事業への参入を検討していることを明らかにした。ネット証券大手の同社は、仮想通貨の不正流出問題を起こした交換業者のコインチェックを4月に買収したばかりで、これを機に海外事業の拡大を図る。

松本社長はブルームバーグとのインタビューで「米国でのクリプトカレンシー(仮想通貨)の法的枠組みは、どうやら通貨の送金か、コモディティーか、証券なのか、定まっていないようだ。また州ごとにルールも異なるため注意深く調査している」とした上で、「端的に言えば、答えはイエスだ」と進出に意欲を見せた。

マネックスはコインチェックの再建に向け、セキュリティーの強化やコンプライアンス(法令順守)体制の再構築を進めている。コインチェックは金融庁に仮想通貨交換業者の登録を申請しているが、承認はまだで現在はみなし業者の位置づけ。マネックスでは登録承認を視野に、新たな収益の柱に育てたい考えだ。

マネックスが開示したコインチェックの前期(2018年3月期)決算は、実質的な売上高が626億円、営業利益は537億円と利益率は86%に達した。今後もコインチェックの業務や収益動向を逐一開示する方針。マネックスの前期の連結税引き前利益は前年同期比8倍の86億円。一方、米国事業の税前利益は3億円にとどまる。

米国型の法整備見据える

仮想通貨を巡っては、世界的に規制が強化される傾向にある。それでも松本社長が米国参入に意欲的なのは、「日本は米国型のクリプト関連の法整備を行う」とみているためだ。先行する米国の税制論議や機関投資家の運用動向などを見極めながら、主力の証券業務との連携も含めマネックスのグローバル戦略に生かす方針。

今でも「現役のトレーダー」を自負する松本社長は、17年の仮想通貨高騰で一気に流動性が増したことを評価。同社の仮想通貨事業では取扱量を重視する考えを示した。コインチェック問題については「行政とコミュニケーションできていなかった」と分析。金融規制などに高い知識を持つグループの人材を金融庁との折衝やコインチェックの改革に活用する考えを示した。

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