第46回食品産業功労賞受賞者プロフィル:流通部門=CGCグループ代表兼シジシージャパン社長 堀内淳弘氏
2013/11/06, 日本食糧新聞
●協業に専心し地域SM支援 大手対抗、商品柱に活動充実
日本最大の小売主宰協業組織・CGCグループは、淳弘氏の父・故堀内寛二氏(97年食品産業功労賞受賞)が中堅・中小食品スーパー(SM)に呼びかけて創業した。寛二氏が約20年かけてCGCグループの基礎を築き、その後の20年間で淳弘氏は協業活動の内容を充実させ、メーカー・卸と連携したサプライチェーンに進化させた。
本部主導の協業活動と加盟企業の自助努力の相乗効果で、いまではスーパー売上高上位100社のうち26社を加盟企業が占め、15県でシェア・ナンバーワンを獲得している。
淳弘氏は「小売業界は寡占化しイオン、セブン&アイ、生協、CGCの上位グループに集約されるのでは」と予想する。大手2グループと加盟企業が互角に戦える武器をいかに提供するか。社長に就任した91年以来、PBや輸入品開発、NB集中仕入、物流拠点や情報システムの整備など大手対抗策を矢継ぎ早に打ち出してきた。PBは基幹ブランド「CGC」ほか9ブランドを展開、輸入品は36ヵ国約130工場と取引する。価格競争力だけでなく、委託製造メーカーにISO9000、HACCPの認証取得を義務付け、輸入品も100%トレーサビリティーができる「安全・安心」を第一に商品開発に取り組む。
東日本大震災は地域SMの役割を再認識する転機となった。「震災と原発事故で大手が撤退するなか、加盟企業は店を開けて生活者を支えた。地域SMはその地域から逃げるわけにはいかない。生活インフラの役割を果たしている地域SMをつぶすわけにはいかない」との思いを強くした。
グループ合計年商5兆円を射程に捉えた現在、淳弘氏が力を注ぐのは「食育」「環境保全」「長寿社会支援」「次世代教育」など地域社会が抱える課題解決だ。SMとして「お料理する人を応援する」姿勢を鮮明に打ち出し、全国各地の小学校が実施する「弁当の日」活動も、その地元にある加盟SMが積極的に支援している。
豊かな食生活なくして、SMの繁栄なし--その危機感は強い。「地域社会で必要とされるSMになることが究極の大手対策になる」その信念が淳弘氏を動かす。(板倉千春)
●略歴
ほりうち・あつひろ 46年6月28日生まれ、東京都出身。69年流通経済大学経済学部卒業、同年東急ストア入社、75年シジシージャパン入社、80年取締役、85年専務取締役、91年代表取締役社長、07年CGCグループ代表就任、12年5月からシジシージャパン代表取締役社長兼務
●企業概要
CGCグループの本部会社シジシージャパンは、73年10月に設立。米国CGC(サーティファイド・グローサーズ・オブ・カリフォルニア)の活動にヒントを得て、中小SM支援を目的に活動を開始した。
75年ごろから本格的な協業活動が始まり、大手小売に対抗するため「異体同心」の精神で組織を拡大してきた。
13年10月現在の加盟企業は229社3820店、合計売上高約4兆3000億円、12年度本部取扱高8324億円。加盟企業を商品・物流・情報・教育・販促など多面的に支援する。
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